第二章
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「今は二人だけです、もっとも両親がいてもですが」
「僕の告白を受ける為には」
「私のことを見てもらっていました」
「仙台さんのだね」
「はい」
その通りという返事だった。
「それでここまでお呼びしました」
既に家のカーテンも閉めている、妖しい雰囲気が漂ってきたことが勇人にもわかった。
「私を見てもらう為に」
「あの、学校からずっと気になってるんだけれど」
「私のことで、ですね」
「うん、どうしたの本当に」
事情が全くわかっていないという返事だった。
「仙台さんのこととか」
「実は」
「実は?」
「私人間じゃなくて」
ここでだ、何とだった。
佐紀はこれまで着ていた制服をおもむろに脱ぎはじめた、この展開に勇人はいきなりか、と交際を進めていく中での願いの一つが来たと思った。だが。
まずはそうはならなかった、何とだった。
制服を脱いだ佐紀のその下に黒いワンピースの水着の様な服と太腿までの黒いブーツを着ていた、そして背中には蝙蝠を思わせる翼があり頭の左右には曲がった角もあった。しかも後ろには先の方が三角になった尻尾があった。
その姿を見てだ、勇人はすぐに言った。
「悪魔?」
「私サキュバスなんです」
佐紀は顔を赤くさせて勇人に答えた。
「源口君も知ってますよね」
「あの夜にっていう」
「はい、お父さんとお母さんは純粋な魔族で」
「仙台さんもなんだ」
「そうなんです、母方のお祖母ちゃんがサキュバスで」
それでというのだ。
「お母さんはお祖父ちゃんの血でデーモンなんですが」
「仙台さんはサキュバスなんだ」
「そうなんです、それで」
「サキュバスと付き合えるか」
「それなら私としては」
いいとだ、佐紀は勇人に答えた。
「宜しければとなります」
「そうだったんだ」
「私交際とかしたことなくて」
顔を赤くさせたままだ、佐紀は勇人にこのことも話した。
「告白とかされたことも」
「ないんだ」
「はい、全然」
「そうだったんだ」
「そうした経験ないんですが」
「いや、それ僕もだから」
サキュバスの佐紀に答えた。
「一切ね」
「そうなんですか」
「ないよ、けれど僕もね」
今度は勇人から話した。
「仙台さんならって思ってね」
「告白してくれたんですね」
「だから仙台さんがサキュバスでも」
内心ではサキュバスが噂に聞く様な魔族ならとだ、勇人はごくりと息を飲んでそうして彼女に答えた。
「喜んで」
「そうですか、じゃあ契約の儀式を」
「契約って悪魔の」
「魔族です」
そこは断った佐紀だった。
「魔族と人の契約を」
「魂とか?」
「いえ、この一生だけの契約で」
「ということは」
「交際の契約です」
にこりと笑っての返事だった。
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