ターン85 鉄砲水と変幻の銀河
[3/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
持ち悪い。
「何かまた失礼なこと考えてません?」
「滅相もない」
「そうですか」
聞き分けのいい言葉とは裏腹に1ミリも信じていない視線に射抜かれ、適当に肩をすくめる。2年間も付き合ってきたのだからさすがにもう慣れたものだが、日頃からあの眼光に慣れていない気の弱い人ならあの眼で睨みつけられるだけでビビってあることないこと自分から白状してしまうだろう。
「まあいいです。それよりも、先輩には少し聞きたいことがあったんでした……今、時間空いてます?」
聞きようによってはなかなか過激な台詞を無自覚に吐きながら、エプロンの前ポケットに突っ込んであったらしいデュエルディスクをそっと取り出す葵ちゃん。こういう時だけ以心伝心なんだから、本当にいい後輩を持ったものだ。それとも彼女も僕もただの戦闘中毒者か、だ。
「先輩とこうしてデュエルするのは、私が入学した時以来ですね」
向かい合ったところでぽつりと言われて、ふと思い出す。確かに、彼女との出会いもこうしてデュエルが絡んでいた。僕が勝ったらこの店、YOU KNOWの看板娘兼助手になってもらう……とか、そんな感じだったっけか。それがまさかこの2年でここまではまり役になるとは、スカウトした僕にとっても予想外だったけど。
「あそこで負けたおかげで今の葵ちゃんがあるんだから、少しは感謝してもらいたいね」
「いいですよ」
「へっ?」
どうせまた憎まれ口でも叩かれるかと思っていたから、思わぬ素直な返事に完全に虚をつかれてしまった。思わず間抜けな声を上げて彼女の顔をまじまじと見返すと、してやったりといわんばかりの笑顔で迎えられる。
「先輩が勝ったら、ですが」
「……なるほど。じゃ、なおさら負けられないね。オーケイ、デュエルと洒落込もうか」
これは、発破をかけてくれたのだろうか。この大事な時に平常心を保てないだけならまだしも、それを悟られたあげく後輩に心配かけるとは、僕もまだまだだ。
でも実際、今の軽口のおかげで少しだけ気が晴れたのも事実だ。今必要なのは切り替え、後で必ず来る戦いの時に備えて心と体を静めておくことだ。
「「デュエル!」」
葵ちゃんが相手となれば、僕の手の内は割れていると考える方が自然だろう。となれば下手な小細工を狙うより、正攻法でストレートにこのデッキの持ち味を生かすのみだ。
「僕のターン。モンスターをセットして、ターンエンド」
「セットですか。リバースモンスターですか、あるいは……」
「さーてね。どう思う?」
「どちらにせよ、すぐにわかることですね。私もモンスターをセットし、カードを2枚伏せてターンエンドです」
近頃のデュエルにしては珍しく、互いにセットしたのみでターンが再び回ってくる。誘わ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ