ターン85 鉄砲水と変幻の銀河
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許しません。その挑戦、正面切って受け止めるしかないじゃないですか!銀河眼の光子竜、破滅のフォトン・ストリームです!」
霧の魔法剣と、目も眩むような光子のブレス。1瞬の交差の後、その剣が深々とドラゴンの胸を切り裂き、光が霧の王の鎧を貫通して腹の部分に風穴を開けた。
霧の王 攻3000(破壊)→銀河眼の光子竜 攻3000(破壊)
「くっ……!」
「今だ、ツーヘッド・シャーク!」
双頭の鮫の牙が空を裂き、とどめの一撃を与える。これで、終わりだ。
ツーヘッド・シャーク 攻1200→葵(直接攻撃)
葵 LP800→0
「……結局、先輩には最後まで勝てませんでしたか」
ソリッドビジョンが消えていく中、葵ちゃんがぽつりとつぶやく声が耳に入った。その声がかすかに震えているように思えたのは、僕の気のせいではないだろう。こういう時に何か気の利いた言葉のひとつでもかけてやれるのが、いい先輩ってもんなんだろうけど……あいにく、僕はそんな柄じゃない。でも、こんな状態の葵ちゃんは僕も初めて見る。せめてできるのは、それなりに美味しいであろう紅茶の1杯でも淹れることぐらいだ。親父には敵わずとも、商売人として一通りのコツは僕も抑えている。
黙って立ったまま悔しさと泣きたいであろう気持ちをかみ殺す葵ちゃんを椅子に座らせ、沸騰させない程度にお湯を沸かす。時械神の炎を出せるようになったおかげで、この辺の手順はだいぶ楽になった。本来は茶葉から淹れるのが正しいスタイルなんだろうけど、個人的には最近のKC印のティーパックがかなり性能が良いのでそれで十分。こっちの方が楽だし、デュエルアカデミアは海馬コーポレーションのお膝元だから若干余所より安く買える。葵ちゃんは砂糖とかは入れないストレート派だったっけか、と思いながら3日前に焼いたばっかりのシナモン入りクッキー(売り物)の封を適当に開ける。あとでこれ一袋分は給料から天引き……は、可哀そうだから勘弁してあげよう。餞別代りの僕からの奢りだ。
「ほい、どうぞ」
「いただきます」
小声とともに、一礼してカップに口をつける。ちゃんと返事ができるあたり、こちらで作業している間に多少は気分も晴れてきたようだ。向かいの席に座り、葵ちゃんの整った顔立ちを見ながらクッキーをつまみ、僕の分もついでに用意した紅茶を飲みつつのんびりと飲み終わるのを待つ。
「ごちそうさまでした。先輩、これは1つ貸しにしておいてください……それと」
1杯ひっかけてだいぶ復活したようで再び声にも張りが出て、目にも光が戻ってきた。テーブルにバンと手を付いて勢いよく立ち上がり、強気な笑みを浮かべる。
「来年、私が卒業するまで首を洗って待っていてください。葵流に不可能の文字はありません、次こそはリ
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