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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン85 鉄砲水と変幻の銀河
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るだろうしな」

 口調こそ柔らかいが、要するに邪魔だから出てけということだろう。確かに、この世のあらゆる難しい話は専門外だと公言して憚らないような僕にこれから始まる三沢の膨大な計算の手伝いなんてできそうにない。

「それに、そのデュエルディスクもせっかく改造までしたんだ。戦闘データをいくらか確保しておきたいから、そのテストも頼む」
『適材適所、だな。マスター、駄々こねてないで大人しくした方がいいだろう』

 追い打ちをかけるような頭脳派2人の言葉に畳みかけられ、半ば押し出されるように部屋の外に出る。よほど集中したいのか、扉をくぐった瞬間内側から鍵のかかる音がした。

「……じゃ、行こっか」

 体よく締め出された感は否めないけど、ここにずっといてもどうにもならない。諦めて左の手首で輝く腕輪をひと撫でし、ふらりと曇り空の下に足を向けた。





「よし、勝った勝った。えっと、3点貰い……で、いいんだよね?」
「うぅ……」
「じゃーねー」

 半ば憂さ晴らしのように倒された後輩君には申し訳ないが、もともとデュエルを挑んできたのは向こうの方だ。当たり前といえば当たり前なのだが、いまだこのアカデミアの誰もがすぐそこまで迫っている脅威には気づいていない。だからといって、それを責めることなどできるはずもない。そんなもの、普通は気づくはずもない。
 むしろ、三沢から釘を刺されたとはいえこんなにのんびり卒業デュエルなんてやっていて、目の前の危機から目をそむけているのは僕の方なのかもしれない……なんて、柄でもない方に思考が飛んでしまった。

「やめだやめ。これで累計……えっと、93点か」

 卒業までに必要な点数は、最低100点。最低2人、最高でもあと7人とデュエルすれば、晴れて僕にも卒業資格が手に入る。1度デュエルした相手とは点数に入らない以上、他に戦ってない相手は……なんて、そんなのもう決まってるじゃないか。2年生の彼女と、3年生の彼女。最低でもこの2人に勝ってこそ、僕も胸を張って卒業できるってものだ。考えながら歩いていたら無意識のうちに見慣れた場所、普段僕がいる1教室の前に着いていた。電気がついているということは、案の定彼女はこの中にいるのだろう。軽くノックしてから返事を待たずにドアを開けると、かすかにシナモンとバニラエッセンスの混じった甘い匂いが漂ってきた。

「やっほー、精が出るねえ」
「いらっしゃいま……自分の店放り出してどこで油売ってたんですか、先輩」

 暖かく迎え入れられたかに思ったのもつかの間、冷たい視線と言葉が突き刺さる。別にそういう趣味があるわけじゃないけれど、そんな態度にどこかほっとしている自分もいた。ま、彼女の場合はこうでなくっちゃね。変にしおらしくなられると、そっちの方がよっぽど気
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