暁 〜小説投稿サイト〜
週刊東方「結晶回廊」
壱「わたしはどこ?」

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みんな、おはこんばんちわ!石切はじめです。
早速なんだけど、遭難したそうなんだ。俺が。
思いつきで山へ栗拾いに行ったのはいいんだが、いざ来てみたらどういうことだ。見渡す限り銀世界だったんだよね。よく考えたら今は冬至手前の真冬なんだからそれが当たり前で、当然のように栗なんてどこにも落ちていないんだよ。
来てしまったものは仕方がない。手土産の一つでも持って帰ろうかという時に、足を滑らせてどこかへ転げ落ちてしまったんだ。
「雪がないってことは、相当下まで降りて来たみたいだな。……あれ?」
ちょっと待て。なんで山の入り口から転げ落ちてまた山にいるんだ?そもそもどこから転げ落ちたんだろうか。
「そーなのかー!」
なんか聞こえてきた。
明らかに子供の声だ。それも女の子。こんな厚着の男が突っ立っていては怖がられるだろうか。
しかし、どこを探しても子供の姿は見当たらない。気のせいだったのだろうか。
「たべちゃうぞー!」
がぶぅっ!!と何かに噛み付かれた。とっさのことで俺は「ペプシッ!!!!!」と大声を出してしまった。喉が渇いた。
「まずっ!?」
吐き捨てるようにそう言って、謎の襲撃は終了を迎えた。噛み付かれたほうを見てみると、金髪の幼女が口をペッペッとしながら尻餅をついていた。
「……怖いやつだな、お前」
「むー、食べられない。あなた、どんな食生活をしてきたのぉ?そんな体じゃ病気になっちゃうよ」
「人食犯に健康の心配をされるとは心外だな。ところで幼女よ」
「幼女じゃないよ」
「未来のレディ、ここはどこだ?」
じっと睨みながら、意外にもあっさりと答えてくれた。
「ここは幻想郷。妖怪の楽園よ」
「そーなのか」
「そーなのだ!」
いきなり元気になった。
幻想郷…妖怪の楽園……?どういうことだ。いわゆる異世界ってやつなのか。最近の幼女はライトノベルも読むんだな。
……と言いたいんだけど。呼吸同然に宙に浮くこの幼女を見ていたら嘘とも思えない。
ふーん、異世界か。面白そうだな。
「なぁ幼女、色んなところ案内してくれよ」
「幼女言うな。お腹が減ってそれどころじゃないんですけど」
スッと懐から大福を取り出した。
「仕方ないなぁ、色々なところへ連れてってあげる」
ナマイキ幼女はちょろい。
ちなみに大福は、栗拾いの途中で食べようと思っていたものだ。
「幼女、名前は?」
「カリスマレディ」
「お前意外と面白い冗談言うんだな」
「……ルーミア」
「俺は石切はじめって言うんだ。よろしく頼むぜ」
ルーミアは何も言わずに前を歩き始めた。


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