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ハルケギニアの電気工事
第15話:領内改革!(その2−1)
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殻の表面はつるつるですが、非常に固い繊維で出来ています。鉈や斧などで割る事が出来ますよ。」

 試しに鉈で少し割って見せます。

「中にはジュースが入っているので、いきなり二つに割ってしまうと零れてしまいもったいないですから、零さないように少しだけ割る事が大事です。

 コップを用意して中のジュースをコップに移します。

「このジュースは結構美味しいし、量も入っているので、南方の暑いところでは水分補給の為にも重要になります。ジュースを出し切ったら、完全に二つに割ります。」

 今度は鉈で実を二つに割りました。

「中のこの白っぽい部分が果肉で、とても美味しく食べられます。食後のデザートにも良いですよ。」

 こちらはお皿に取り分けます。

「まあ、ちょっと味わってみて下さい。」

 そう言って、二人に勧めます。二人ともおっかなびっくり口に運んでいましたが、結構いける味だと判ると、綺麗に食べてしまいました。

「このように、椰子の実は南方では非常に有効利用できるので大事にされています。もっとも、この使い道は今回の調査目的からはおまけの存在なのですけどね。調査目的として重要なのは残った殻の方です。堅い繊維質の殻を蒸し焼きにして炭の状態にすると、椰子殻活性炭という物が出来ます。これは臭いの吸収性能に優れていて、屎尿収集班と消毒班用の防毒マスクにつかう吸収缶の主要材料になります。」

「この殻が材料になるのですか。確かに凄く堅いからですね。切り口を見ると堅い繊維で出来ているのが良く解ります。」

 キスリングさんが割った片方の殻を手に持ってじっくりと調べています。ウイリアムさんももう片方の殻を持って見ていますね。

「この殻一つで、どれくらいの活性炭が出来るのでしょうか。」

「まだ、どれくらい出来るか迄は解りません。練金で木を使って炭を作る実験をして、上手くできる方法を見つけないといけません。木の成分を炭素に変換するだけですから簡単だとは思うのですが。吸収缶の大きさや構造も考えないといけませんから、これからやる事も多いと思います。」

 二人とも、大体感じがつかめたようですね。それでは次に行きましょう。

「次に、こっちの瓶の方です。中身はゴムの樹液です。これはゴムの木の幹に傷を付けて、出てきた樹液を集めた物です。今回の調査で11本のゴムの木を見つける事が出来ました。」

「これがゴムの樹液という物ですか。何というかネバ〜とした感じですね。」

「そうですね。これを加工してゴムを作ります。非常に伸縮性に富んで防水性にも優れていますから使い道はたくさんあるでしょう。」

「この樹液をどう加工するのですか?」

「そうですね、まず樹液を良く練ります。この段階を素練りと言います。素練りはゴム
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