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星雲特警ヘイデリオン
番外編 星雲特警と怪獣映画
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このような特撮映画が作られていた時代においては、怪獣も異星人もフィクションの存在でしかなかった。人が空想で作り上げた、幻想のものでしかなかった。
 だが、度重なる外宇宙からの侵略を受けて、それらのジャンルは単なる娯楽とは言えないようになってしまったのだ。映画の中だからと笑っていられたことが全て、現実になってしまったのだから。

 そのため、こうした怪獣や異星人の類を扱った特撮映画は「遺族の心傷を軽視する不謹慎な作品」と見なされ、弾圧されてしまったのである。
 以来この手の作品群は、ここのような場末の映画館でしか見られない程の、肩身が狭い状況に立たされてしまったのだ。
 観客が年配者ばかりなのも、怪獣や異星人が架空のものだった時代を、懐かしむ層が集まるからなのだろう。

「地球守備軍も随分強くなったと言うとるし、ちょっとは融通利かしたってええじゃろが。のぅ、坊主」
「……そうですね」

 不遜な口調で文句を並べ、鼻を鳴らす館長。その様子を横目に見遣りながら、太?は暫し物思いに耽る。

 ――3年前。星雲特警として戦う日々の中で、太?は異星人達が地球を襲わなくなった本当の理由を知った。
 この星にはもう、襲うに値するほどの「資源」がないのだと。その「資源」を失わせてきたのは、他ならぬ地球人なのだと。

(同じように、繰り返されて行く……か)

 その事実と向き合った上で、太?は映画の中で隊長が放った台詞を反芻する。
 ――地球の資源を犠牲にして、ドゥクナス星人を撃退し、平和を掴み。シンシアの犠牲を以て、シルディアス星人を滅ぼし、安寧を取り戻した。地球人は歴史の中で、絶えず「命」を切り捨て、目の前にある未来を守り続けて来たのだ。
 それはきっと、間違いではない。そうしなければ、今の平和はないのだから。

 だが、その平和はそれまでの「過程」によって今、脅かされようとしている。人類が自分達のために始めた核実験のせいで、誕生してしまった怪獣に脅かされていた――この映画のように。

 ――もしかしたら、この映画を作った当時の人々には、分かっていたのではないか。こうして人類が、痛みを繰り返して傷ついて行く未来が、視えていたのではないか。
 その思いゆえに、強いシンパシーを感じたから。太?はこの映画を観るために、ここへ足繁く通っているのだ。

(……じゃあ……オレは一体、どうしたらいい。これ以上、悲劇は止められないのか? 本当にオレは、全てを知りながら……死んで行くこの星を、見つめて行くしかないのか?)

 ――地球資源はまだ、すぐに枯渇するほど失われているわけではない。少なくとも太?が生きている間は、保つだろう。
 だが異星人達にとっては、奪う価値すらないほどに枯れているのだ。地球人よりも遥かに長く、悠久の時を生き
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