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星雲特警ヘイデリオン
番外編 星雲特警ユアルク
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らしい。

「はいはい、休憩の時間は終わりですよ。火鷹さん、進士(しんし)さん。田中先生を呼んで来てください」
「わかりました。進士さん、行こっか!」
「は、はい!」
「さ、あなた達も教室に戻りなさい。授業を始めますよ」
「はーい! たろーにーちゃん、あいねーちゃん、またあとでね!」
「うん、また後でね。君達、ちゃんと院長先生の言うこと聞くんだよ?」
「また授業中にお喋りしてたら、ダメですよ?」
「わかってるー!」

 その後、用務員の少年は首に巻いた赤いスカーフを揺らして、施設の中に向かって行く。ショートボブの少女は、そんな彼の背にほのかな想いを募らせて、その後ろに続いていた。
 ――その一方で、金色を僅かに残した白髪の老女は、わんぱくな子供達に声を掛けている。

「……」

 地球守備軍の主力戦闘機「コスモビートル」。そのパイロットの証である、赤いスカーフを巻いた少年の優しげな貌を、蒼い髪の美女は遠くから静かに見守っていた。彼がこの孤児院の教師を呼びに、施設の中へと消える瞬間まで。

「……ユアルクめ、随分とつまらんホラを吹いたものだな。弟子の教育を誤った、などと」

 やがて、少年の背を見届けた彼女――デューネ・マリセイドは、微笑を浮かべて踵を返す。脳裏に過る戦友の言葉が、今は可笑しくてたまらなかったのだ。
 あの少年――火鷹太?は。かつて地球のために戦い抜いた「星雲特警ユアルク」の心を、確かに受け継いでいたのだから。

 ――そして、彼女の足元では。道端に咲き誇る蓮の花々が、肌を撫でる穏やかな風を浴びて、ひらひらと揺らめいていた。
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