番外編 星雲特警ユアルク
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送っている。
だが、何一つ影響がないわけではない。
災厄を受けて、地球守備軍の軍拡は飛躍的に進行しており、その規模は5年前の数倍にも膨れ上がっている。近年では鐡聖将だけでなく、星雲特警のコスモアーマーから着想を得た「地球製人間大パワードスーツ」の研究も進んでいた。
その新兵器――「地球特警」は後に3年の研鑽を経て、「特務部隊電光」の特殊強化戦闘服「電光スーツ」へと発展して行くのである。遠くない未来において、地球人はついにコスモアーマーを超える人間大の強化外骨格を生み出したのだ。
それらの軍拡や新兵器の研究については、実戦でシルディアス星人に対抗出来なかったことに起因する、世論からの反発も強かったが――結局は、「武力無くして平和は成り立たない」とする勢力の方が多数派だったのだ。
一方、5年前の災厄でシルディアス星人を撃退したユアルクとメイセルドの勇姿は克明に記録されており、世間では彼らを35年前の「星雲特警」と同一視する見方が強まっていた。幾度となく地球を救ってきた、宇宙からの使者である彼らを「神の使徒」と祀る宗教は、災厄の影響もあり35年前の10倍以上にまで勢力を強めている。
「宇宙から来た無敵のヒーロー」としか一般には周知されていない彼らは、老若男女全ての人々から絶大な支持を受けているのだ。光楯に続く、この星の救世主として。
「人呼んで、蒼海将軍! 星雲特警ユアルク参上ー!」
「メイセルド見参ー!」
「デューネ推参ーっ!」
「そして、このおれが……じんるいのきぼう、『暁』だーっ!」
「『光楯』だぁー!」
「悪の異星人め、かくごしろぉっ!」
「きゃーっ!」
それを裏付けるように――街中のとある孤児院では、幼い子供達が星雲特警や異星人等に扮して、ヒーローごっこに興じていた。その様子を、柵越しに1人の美女が微笑ましげに見守っている。
「……さて、そろそろ行くか」
やがて蒼い短髪を掻き上げ、踵を返した彼女は――豊満な巨峰をたわわに揺らしていた。その成熟した果実に、何人もの道行く男達が目を奪われていたのだが――好色の視線には慣れているのか、当人は気にすることなく歩み出して行く。
「……!」
そうして、彼女が立ち去ろうとした瞬間。戦災孤児院の院長を務める、1人の老女が――用務員の少年を呼びつけている様子が見えた。その隣にはショートボブの黒髪を靡かせる、同年代らしき少女の姿も窺える。
少年達を見かけた美女は足を止め、茶色の作業服を纏う彼らを神妙に見つめる。
溌剌とした表情を浮かべる少年少女は、幼い子供達と笑い合いながら老女に駆け寄っていた。どうやら彼らは、子供達とも仲が良い
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