番外編 星雲特警ユアルク
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散らせても、星雲特警ユアルクにはまるで歯が立たず。これ以上無理に戦って全滅してしまう前に、他の星を当たる方が賢明と判断したのだ。
貧しさに喘ぐドゥクナス星人達にとって、この星には蒼海将軍と戦ってまで奪う価値などないのである。
無論、ユアルクはそんな彼らの背景は調査済みであった。だからこそ彼らを深追いすることもなく、こうして去りゆく円盤を見送っているのである。
――この地球から遠くない惑星は皆、シルディアス星人に蹂躙され尽くしている。飢えた彼らがどれほどもがいたところで、もはや辿り着ける場所などありはしないのだ。彼らは遠からず、暗黒の海原で餓死することになる。
そんな救いようのない現実を、隣に立つ男はすでに知らされていた。……自分達の掴んだ平和は、決して誇れる形ではないのだということを。
「……良くも悪くも、か」
「将軍。私達は間も無く、この星を離れることになる。……後のことは任せたぞ」
「あぁ、分かってる。ここからは、俺達地球人の仕事だ。……例え、見せかけの平和でも……あんた達のおかげで掴んだ平和だ。きっちり守り抜くさ」
「そうしてくれ。……私もようやく、本来の戦場に帰る時が来た」
「シルディアス星人、か……。せめて、この星から武運を祈らせてもらうぜ」
自分達ではどうしようもなかったドゥクナス星人との戦争も、シルディアス星人の暴虐を知る星雲特警達にとっては、ほんの前哨戦に過ぎない。そんな次元の違いを思い知らされ、将軍と呼ばれたパンチパーマの男は深くため息をつく。
「――ユアルク。出発の準備が整ったぞ」
「済まない、デューネ。……では、我々はこれで失礼する。達者でな、将軍」
「……あぁ」
やがて、ユアルクの名を呼ぶ1人の美少女が声をかけて来た。ショートに切り揃えた蒼い髪を靡かせる、色白の柔肌を持つ彼女は――デューネ・マリセイド。
「宇宙刑事デューネ」の異名を取る戦士であり、ユアルクと同様にこの星を守る任務を帯びていた女性だ。彼女自身も、ドゥクナス星人と結託していた宇宙犯罪組織「ゲドゥ」を壊滅させた手練れである。
95cmのIカップという巨峰を揺らしながら、切れ目の眼差しで戦友を見つめるデューネ。そんな地球人離れした美貌を持つ彼女に、思わず息を飲む長官を一瞥して……ユアルクは静かに立ち去っていった。
――次に会う時は、平和な時代がいい。
彼らは互いに、そう願っていたが。それが本当に叶うなど、この当時は全く信じていなかった。
弱冠14歳の若さで星雲特警となり、シルディアス星人の「帝王」を打倒し、数百年に渡る戦いに終止符を打つ救世主の誕生など。彼らはまだ、想像すらしていなかったのである。
「……」
「……どうした、デューネ。この星が名残惜しいか」
「いや……まぁ
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