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星雲特警ヘイデリオン
番外編 星雲特警ユアルク
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横顔を、神妙に見つめていた。

「……あんた方のおかげで、俺らの星は……地球は救われた。どんだけ礼を言っても足りねぇのは分かってるし、あんたらの力になりたいのは山々なんだが……生憎、地球の軍隊じゃあ足手まといにしかならなくてよ。……済まねぇな」
「初めからそんなものは期待していない。私はただ、この青い星を守れと……上に命じられただけだ」
「ユアルク殿……」
「……それに、この星の平和は私の強さで得たものではない。良くも悪くも(・・・・・・)、地球の人々が掴んだものだ」
「……」

 パンチパーマの黒髪を、高所に吹く風に撫でられながら。男は蒼海将軍の含みを持った言葉を受け、目を伏せる。

 ――他の惑星を侵略することで、宇宙での勢力圏を広めようとしていたドゥクナス星人。
 その侵略宇宙人から地球を守るべく派遣された、星雲特警ユアルクは……師であり父でもある歴戦の戦士(メイセルド)から授かった、幾多の技を駆使してこの星を守り抜いてみせた。
 この星の防衛戦力である人類統合軍が全く歯が立たなかったことを鑑みれば、彼の助力は地球にとって不可欠だったと言える。レギオンとの戦争を終えた時点で、彼らもすでに限界を越えていたのだから。

 だが。ドゥクナス星人達がこの星から撤退した理由は、蒼海将軍の存在だけではなかった。
 ――割りに合わなかった(・・・・・・・・・)のである。

 かつて地球は、緑と資源に満ち溢れた瑞々しい星であり、他の惑星にとってはオアシスのような存在であった。
 それゆえ、今まで幾度となく異星人達に狙われ――その都度、星雲特警達によって退けられてきたのだ。母星の外を知る術もなかった当時の地球人には、知る由も無い話であるが。

 ……しかし。環境破壊を厭わない開発事業を、長い歴史の中で推し進めた結果。海は汚れ緑は消え、資源は食い荒らされ。異星人達が目をつけていた旨味は、現地民である地球人達によって無自覚に奪われていたのである。
 そのため、年を追うごとに地球を狙う異星人達は減っていき――それに伴い、星雲連邦警察も地球守備へのマークを緩めつつあったのだ。
 この星を狙う敵がいなくなるのであれば、星雲特警を常駐させる理由もない。それでなくとも、今はシルディアス星人との戦いを優先させねばならない。

 そうした背景もあり、星雲連邦警察は地球を放置し始めていたのである。ドゥクナス星人が地球を襲い始めたのは、その矢先の出来事だった。
 実はドゥクナス星人も、他の星々のようにシルディアス星人の被害を受けていたのである。配下に置いていた惑星を次々に蹂躙され、戦いを挑むも返り討ちに遭い。僅かでも資源を得て生き延びるために、藁にもすがる思いで地球に侵攻してきていたのだ。

 だが、地球人達の軍勢――人類統合軍は蹴
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