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星雲特警ヘイデリオン
番外編 帝王は暁を仰ぐ
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た「近衛兵」達であったことは容易に想像できる。

 つまり。魔族の上位種の中でも、突出した精鋭である「近衛兵」を全滅させるほどの「何か」が、この一帯に存在していた――ということだ。少なくとも自分達(ゲオルギウス)とは違う、「何か」が。

「……先ほどまでの奴らとは、違うな」
「――ッ!」

 刹那。その疑問は、瞬く間に解消される。50mほど離れた先から響く、低くくぐもったような声が――「暁」に戦慄を齎し、臨戦態勢へと誘う。
 魔族達の骸に紛れた黒い塊が、ゆらりと蠢いたのは、その直後だった。やがて「暁」はそのシルエットから、声の主が自分達と同じ「人型の怪物」であると悟る。

 ――紫紺の肌を覆い隠す、漆黒の重鎧。腰まで伸びる漆黒の長髪に、紅い凶眼を備えた黒の鉄仮面。プロテクターを内側から押し上げる、膨張した筋肉。2m半ばにも迫る、筋骨逞しい体躯。
 魔族とも、自分達とも異なる「第4の種族(アンノウン)」。それが彼に対する、「暁」の男の認識であった。
 離れていても感じていた、魔王の殺気とも違う。自分達(ゲオルギウス)が皆等しく抱いていたような、燃え盛る闘志とも違う。こちら側の理解の外側から来た、得体の知れない異物。そうとしか思えないほどに、その者の存在は異質であり、歪であった。

「魔王……ではないな、貴様。何者だ」
「……魔王、か。少なくとも、その名で呼ばれたことは一度もない。俺を『帝王』と呼ぶ者は多いがな」
「帝王……だと」

 ――帝王。そう名乗る異質な存在を前に、「暁」は仮面の下で眉を潜める。
 相手が何者であろうと、今自分が倒すべきは魔王1人だ。それ以外に時間を取られている暇などないし、急がねば仲間達が危ない。
 僅かな逡巡を経て、そう決断した「暁」の男は――バーニアを噴かせてこの場を通り抜けようとする。が、帝王の放つ殺気の奔流が、それを阻んだ。

「……この星の闘争が生む、死と殺戮の波動。それに引き寄せられて来てみれば、随分と面白いことが起きているではないか。こんな辺境の星に、お前らのような連中がいたとはな」
「なに……?」
「我々にとって戦いとは、生への充足。その本能に従い、俺は生きる。それがシルディアス星人として生を受けた、俺自身の在り方だ」
「さっきから何を訳のわからないことを……!」
「――俺の欲求からは逃れられん。俺が言っているのは、そういうことだ」

 帝王の全身から迸る、悍ましいほどの殺気と闘争心。何百年も熟成させたかのような、破壊欲の塊が――眼光となって顕れ、「暁」の男を射抜いていた。
 その紅い眼差しを浴び、「暁」の男は悟る。この異物は、避けては通れない――と。

 ――シルディアス星人は血と闘争を本能で要求する、戦闘民族だ。彼らは母星を拠点に全宇宙を転戦し、死に
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