remember memory
ep.0002 remember memory 騎城&七草 後編
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た。
衝撃に目が覚め、途端に辺りを見る。
気配はもともと感じ取れなかったのに、俺は完全に取り乱していた。
「そんな...嘘だろ!」
初めて誰かが居なくなる恐怖を覚えた。
床を見ると「助けて」と書かれている。
俺はパニックになりそうな感情を無理矢理理性で押し殺した。
「そこに居るのか!」
「頼む...消えないでくれ!」
何もないはずの空間に手を伸ばす。
その時、声が聞こえた気がした。
「ここだよ」と声がした。
俺はそれで完全に冷静になった。
自分の目を前の空間を抱き締めるようにして、俺は自分の能力を使った。
付加理論には1度しか使えない奥の手があった。
2度目を使えば俺は負荷に耐え切れず自滅する。
この能力が世界に我儘を言うだけの能力なのなら、この奥の手は我儘を通す能力だろう。
『絶対理論』。
この力によって与えられた理論は永続的なものになる。
言わば、俺が無理矢理常識を作る能力だ。
本来なら神の領域に達するはずの妙技をこの能力はたった一度だけ実行することができる。
無論、自滅することを前提にするなら2度目を使うことも出来るのかもしれないが自滅してしまったら何もかも終わりだから俺は2度目を使うことはない。
それに、能力自体は付加理論をそのままグレードアップしただけの能力だから対象に触れる必要があった。
ただ、能力が発動すれば俺が死んだとしてもその理論を取り払うことはできない。
「お前を消させたりなんかさせない。」
俺の腕が奇妙な光を放つ。
今から考えればあれはきっと『神の手』か何かだったんだろう。
その腕は万物への接触を可能とし、完全に消滅したかに思われた相手に触れた。
そして俺は絶対理論を行使した。
(対象の能力を俺に対して完全に無効化する。)
俺の腕の光は強さを増し、辺りを包み込んだ。
ようやく視界が定まると、1人の少女がいた。
それが俺と七草の初めての対面だった。
彼女が見えた途端、肌の感触、体温、匂い、重みが一気に伝わり、それが彼女がここに確かに存在していることを俺に再度伝えた。
俺はこの感覚を忘れないために彼女を強く抱き締めた。
「ん...。」
強く抱き締められた彼女は思わず泣き出していた。
俺は彼女の頬に手を当て、親指で彼女の涙を拭う。
頭を撫でるように若干ボサッとしている彼女の髪を、俺は少し乱暴に掻き回した。
彼女は嫌がる素振りはなく、受け入れているようだ。
そして俺は自己紹介をした。
「俺は騎城優斗だ。お前は?」
「な...七草花夜...です。」
七草から聞いた話だが、当時彼女は自分の能力をコントロールできな
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