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世界をめぐる、銀白の翼
第七章 C.D.の計略
蜘蛛のライダー
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クで、追いかける真司。


向かう先は、清明院大学江島研究室。
ライダーバトル、ミラーワールドの、誕生の地である。



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何もない
感想はただそれだけ。


それは当然のことだろう。


二人の辿り着いたこの研究室の中の機材は、総て生き残った研究員・香川によって回収されている。
それを元にして彼らは疑似ライダー・オルタナティブを作り上げたのだ。


あるのはただ、無造作に壁に立て掛けられた鏡と、古臭い木組みの椅子だけ。


「なぁ、なんもねーじゃん」

「黙ってろ」

何か見落としがないか。
蓮自身も元々はここの研究員だったので、どこに何があったのかはわかる。


だが、やはりないものはない。
どう探してもありはしないのだが―――――



「・・・気になることがある」

「え?」

そう言って、その場を後にする蓮。
椅子を前後逆にして座っていた真司が、その後を慌てて追いかけていった。





「少し前、恵理が昔の同僚を見たと言っていた」

「・・・・んで?」

「直接会ったのではなく、見かけたらしいが、それは「鏡越しに」見かけたらしい」

「よくある話じゃんか」

「ああ、だがな」


そう言って、別の研究室に入って勝手にロッカーを漁る蓮。

ここの研究棟は、江島研究室の事件以来幽霊屋敷のようになっており誰も近づこうとしていない。
すべてがなくなったはずだというのに、まるで残り香のようにそれだけは残っていた。


そして、誰もいないのをいいことに蓮は次々に書類を取り出しては床に落とす。
落ちるたびに誇りを巻き上げるそれに真司が咳き込むが、お構いなしだ。

すると、目当てのものを見つけたのかその手が止まってページをめくり始める。
手が止まり、見つけたページは在職研究員名簿。


そこにあったのは


「・・・・なんでここだけ空いてんの?」

四角い証明写真程の大きさの顔写真が並ぶそのページ。
だが、不自然にそのうちの一つが真っ白になって抜け落ちていた。


印刷の不手際だとか、そんなものではない。
まるで最初からなかったかのように、そこだけすっぽりなくなっていたのだ。


「名前もないな。えっと・・・工藤・・・で空いてからの佐藤・・・・じゃあここの名前は」

「高円寺」

「・・・・へ?」

「名前は高円寺。それしかわからないが、あの研究室の近くにいたということはまさか・・・・」


蓮が、本を落として考え込んでしまう。

あの研究室で犠牲に
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