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世界をめぐる、銀白の翼
第七章 C.D.の計略
暴君の城塞
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とが原因であった。


今でもそうだが、乾巧は人付き合いが苦手だ。
悪い人物ではなく、むしろいい人なのだが、かかわり方が下手なために誤解を生むのが多かったのだ。


しかも、それが学生時代からともなるともはや致命的なものとなる。

自分の意思が伝わらず、幾度となく拒絶され、拒否された。
スパっ、と割り切れればいいのだが、彼は引きずる人間でもあるため、更にウジウジして好転などしなかった。


種類は違う物の、何か言葉にすることのできない鬱憤やイラつきという点では、巧は呉木田を少しは理解していた。
そしてだからこそ、彼は呉木田に声をかける。



「お前、これ以上暴れてどうするんだよ!!このままじゃ、結局言われっぱなしの通りになっちまうんだぞ!!」

「あぁ!?」

「屑だのバカだの言われてよ!それで、そのままで終わっちまうって言ってんだ!!」

「・・・なるほどな。あんたも同じ感じの境遇だったってか?」

「そうだ。だから、お前のやっていることが無駄だってことも、わかってるつもりだ」

「そうかい・・・・だったら当てが外れたなァ!!!」

バシュッ!!と、タワーの四本足の最後の一本にマーカーを打ち込むスクエア。
そして、フェンスを捻り開けてその足に右足を乗せて見返すように大声で叫んだ。


「俺はな、何もできないままで終わるつもりはねぇ!!すげえでっけぇことやり遂げて、俺は「やる奴だ」ってのを、見せてやるのさ!!」

「それがどんだけバカなことでもか!!」

「やめろ!!それ以上やっても、何も変わらない!!」

カンカン、とタワーを上っていくスクエア。
そのスクエアに声をかけていく二人だが、やれやれと首を振って彼は意にも介さない。



「なあ、テレビとかで見る「無謀な挑戦」的なビデオよォ。あれ、なんで毎回人気かわかるか?」

「なに?」

「見るたびにコメンテーターとかがよォー「なんであんなことするんですかね?」とか「危ないじゃないですか」とかいうけどよォー、それでも人はその姿にドキドキして憧れるだろぉ?それが何でか知ってッか?」

「・・・・・何故だ」

「簡単さ!!出来ねーとタカをくくってなめてるからだ!!出来るわけねぇ。やれるわけねぇ。そんなこと、成功するwけねぇじゃねえかと、お前には無理だと舐め腐ってんだ。だけど、それをやらかした瞬間に「すげえすげえ」って騒ぎだす。出来ないって言って悪かったっていうみてぇーにな!!」



「あれを通して、スリルを楽しんでんじゃねーよ。人間の限界だとかそんなくだらないこと見てんじゃねーよ。あれを見る人の気持ちはな「出来るわけねぇだろ」っつー舐めた考えと、それをぶち壊してくれる「バカ野郎」が見たいからなんだ
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