第5章:幽世と魔導師
第139話「少し違う転生者達」
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無警戒に眠る事は出来ない。
現に、二人は知らないとはいえ、避難場所でも常に見張りを付けるようにしていた。
尤も、妖に限らず緊急時の夜は見張りを付けるものだが。
「三回に分けよう。三時間ごとに交代だ。まずは私からにしよう」
「けど、それでは鞍馬さんの負担が……」
「案ずることはない。式姫だからな」
「理由になってないです……」
実際、天狗である鞍馬にとってそこまで負担ではなかった。
しかし、それでも葉月は不安があったようだ。
「……分かりました。その通りで行きましょう」
「ああ」
とにかく、休息は必要だった。
心配はあるものの、葉月は鞍馬に見張りを任せ、一度眠りにつく事となった。
「昔より発展しているというのに、昔以上に切迫した状況になるとはな」
日を跨ぎ、未だ深夜の時刻。
予定通りに見張りを交代し、再び鞍馬が見張りに戻る。
葉月がもう一度眠りについた事を確認した鞍馬は、ふとそのような事を呟く。
「便利になるだけでは、緊急時に対応できるとは限らない訳か」
科学が昔より圧倒的に発展しているというのに、対処が追いついていない。
平和になったからこそ、緊急時に混乱している。
まだ妖怪が跋扈していた昔よりも、状況は切迫してしまっていた。
「以前は妖が当たり前だったからか。ままならないものだな」
当たり前だったからこそ、対処が出来ていた。
主に仕えていた時を思い出しながら、鞍馬は感慨に耽っていた。
「やはり、街は数が少なくて助かるな」
鞍馬達は事前に、近くの幽世の門を閉じていた。
よって、妖は比較的少なくなっていたため、危険も少なかった。
「っ……誰だ!」
そこで、鞍馬は誰かの気配と霊力を感じ、声を上げる。
すると、暗闇から何者かが現れる。
「……!生きていたのか…!」
その相手を見て、鞍馬は驚く。
だが、その驚きは違う驚愕によって塗りつぶされた。
「なっ……!?」
咄嗟に体を傾けて攻撃を躱す鞍馬。
頭があった場所には、レイピアが突き出されていた。
「っ、貴様、何者だ!?」
鞍馬の知っている、“本来の相手”ではない事に気づく。
しかし、その相手は何も答えず、攻撃を繰り返す。
「(まったく、こう言う時に限って安心はできないものだな…!)」
攻撃を逃げ回るように避けながら、鞍馬はどうするべきか思考する。
「葉月!!」
「っ、は、はいっ!」
「今すぐ逃げろ!」
突然大声で起こされ、一瞬慌てる葉月。
「な、何が…!」
「敵襲だ!ここは私に任せ、逃げ……っ!」
追い立てられるように
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