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真田十勇士
巻ノ百十七 茶々の失政その十
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「江戸を長く治の心の臓とされるおつもりじゃ」
「あの町からですな」
「幕府は長く天下を治める」
「その為にですな」
「神仏の力を集めんとされていますな」
「そうじゃ、深い学識からな」
 崇伝は天海の学識も認めていた、むしろそれは自分以上のものがあるとさえここで言った。
「拙僧以上にな」
「お師匠様以上に」
「あの方は深い知識をお持ちですか」
「学識をですか」
「そうなのですか」
「うむ、あの学識はな」
 まさにというのだ。
「拙僧以上じゃ」
「伊達にかなりのお歳ではないですか」
「もう七十、いや八十か」
「かなりのご高齢ですが」
「うむ、あとあの御仁が時の帝のご落胤だの明智殿だの言う者がいるが」
 明智光秀だ、本能寺の変を起こしたあの男だ。
「違う」
「それはないですか」
「そうした噂は我等も聞いていますが」
「どちらでもありませぬか」
「そうなのですか」
「元々武蔵に生まれられてな」
 そしてというのだ。
「帝とも明智殿ともな」
「無縁ですか」
「左様でしたか」
「そうじゃ、関係がない」
 皇室とも明智光秀ともというのだ。
「特に明智殿とはな」
「お師匠様も明智殿と会われたことがありましたな」
「かつて」
「大御所様は特に」
「左様でしたな」
「幕府には明智殿を知っている者も多いが」
 徳川家は織田家の盟友だったので何かと会うことが多くそれで彼のことを知っている者も多いのだ。
「まだな、しかしな」
「それでもですな」
「天海殿が明智殿という方はおられぬ」
「一人たりとも」
「そうなのですな」
「そうじゃ」
 その通りだというのだ。
「無論拙僧もじゃ」
「あの方は明智殿ではない」
「それは確かだとですな」
「断言出来る」
「そうなのですな」
「確かにな、あの方は怪僧でもない」
 巷で言われる様にというのだ。
「高僧じゃ」
「そのことは間違いありませぬな」
「怪僧ではなく」
「高僧ですな」
「それは我等も思います」
「その様に」
「学識に法力もありな」
 そうしたものを備えていてというのだ。
「非常な高僧であられる」
「そうした方であり」
「巷の噂と違う」
「お生まれも何もかも」
「それは覚えておかねばなりませぬな」
「そういうことじゃ、では江戸のそうしたことはな」 
 神仏による護りはというのだ。
「天海殿にお任せしてな」
「お師匠様はですな」
「このままですな」
「大御所様のお傍にいて」
「知恵を出していく」
「そうしていきますか」
「そうするとしよう」
 是非にというのだ。
「これからもな」
「はい、では」
「まずは方広寺のことを」
「進めていきましょうぞ」
 その裏にあるものをというのだ、こう話
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