第四百九十八話
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第四百九十八話 七人に言うこと
今田先生は華奈子達七人に授業が終わる時にこうしたことを言った。
「皆さん大蒜を買っていつもお家に置いておいて下さいね」
「大蒜をですか」
「はい」
華奈子にその通りだと答えた。
「そうして下さい、あと皆さんに銀の十字架をお渡ししますのでお風呂の時以外はいつも身に着けていて下さいね」
「あの、十字架は」
今度は美奈子が先生に尋ねた。
「私達皆キリスト教徒ではないと思いますが」
「先生もそうですよ」
いつも通りの笑顔での返事だった。
「ですが持っていますよ」
「持っていていいんですか」
「あと讃美歌を一曲お教えしますので」
今度はこちらだった。
「覚えておいて下さいね」
「讃美歌ですか」
「そうです、コピーと楽譜もお渡しします」
七人がバンドをしていることから楽譜が読めることを知っていての言葉だった。
「ですから普通に歌える様になって下さい」
「あの、何かですね」
華奈子は先生に首を傾げさせつつ言った。
「大蒜に十字架って」
「吸血鬼ですね」
「そんな気がしましたけれど」
「このことは何もなければいいです」
「何もですか」
「はい、ですが何かあった時に備えて」
それでとだ、今田先生は華奈子と他の生徒達にも話した。
「買って持っておいてです」
「覚えることですね」
「そうして下さい、あと奇麗な白人の女の人が来ても」
それでもというのだ。
「絶対に近寄らないで下さい」
「白人のですか」
「そうです、話しかけてきてもです」
その白人の美人がというのだ。
「絶対に近寄らないで下さいね、高貴な感じがする奇麗な白人の女の人ですよ」
「高貴な、ですか」
「そうです、絶対に」
こう七人に言うのだった、だが。
華奈子は家に帰ってから美奈子に言った、二人共もう十字架と讃美歌の楽譜を貰っていて大蒜も買っている。
「何か先生おかしいわよね」
「私もそう思うわ」
美奈子も同じ意見だった。
「どうして大蒜に十字架に讃美歌なのかしら」
「先の二つ吸血鬼に関係あるのかしら」
華奈子は美奈子に首を傾げさせて言った。
「それと讃美歌も」
「そうかしらね」
美奈子もそんな気がしていた、二人は先生に言われたことにどうにも得体の知れない違和感を感じていた。
第四百九十八話 完
2017・11・9
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