第十二幕その六
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「日本を楽しめるのは素敵だよ」
「その通りですね、いや日本に来て」
「そしてこうして楽しめるのは」
「奇遇で」
「嬉しい奇遇だね」
「全くです」
「じゃあその奇遇を神に感謝しようね」
ここでも神のことを思う先生でした。
「是非ね」
「そうしましょう」
二人も飲んでいきます、それは日笠さんも同じで。
日本酒を飲みつつ先生にご自身が作ったお弁当を出してそのうえでこう先生に言いました。
「ゆで卵お好きですか?」
「はい」
穏やかな笑顔で答えた先生でした。
「大好きです」
「そうですか、では」
「はい、頂きますね」
「どうぞ、塩鮭もですよね」
「そちらもです」
お好きだというのです。
「お弁当には最適ですね」
「はい、朝御飯にも食べますね」
「あの時もいいですよね」
「私もよく食べまして」
「今もですね」
「お弁当に入れました」
そうしているというのです。
「先生もと思いまして」
「有り難うございます、では」
「頂いて下さい」
「それでは」
先生は塩鮭も食べます、日笠さんは一口食べた先生にすかさずといった勢いで尋ねました。
「如何でしょうか」
「美味しいです」
先生はにこりとして答えました。
「いい塩加減と焼き加減ですね」
「そうですか」
先生のそのお言葉を聞いてです、日笠さんはにこりとそれも安心した様な笑顔になって言いました。
「それは何よりです」
「はい、本当に美味しくて」
それでと言う先生でした。
「お握りも美味しいです」
「そのお握りですが」
日笠さんは先生にお弁当のお握りも出しました。
「実は十六穀も入れまして」
「麦等もですね」
「それ好きなので」
だからというのです。
「作ってみましたが」
「そうですか」
「はい、宜しければ」
こう言いつつ先生に勧めるのでした。
「こちらも」
「それでは」
先生はそちらにもお箸をやって食べてみました、そのうえで日笠さんににころと笑って言いました。
「はい、こちらもです」
「美味しいですか」
「とても」
お握りもというのです。
「美味しいです、しかもです」
「はい、十六穀だからですね」
「栄養もありますね」
こちらの面でもいいというのです。
「麦や稗で」
「そうも思いまして」
「作られてるんですね」
「はい、ですが」
「ですが?」
「実は今回実験もしてみました」
日笠さんは先生に真面目なお顔で言いました。
「一度自分でお握りを作って」
「そしてですか」
「時間を置いて食べてみました」
「そうされたんですか」
「麦も入っていますが」
十六穀の中にです。
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