第三章
[8]前話
「何で?」
「何であそこ何もないの?」
「他の場所は結構傷付いてるのに」
「それなのに」
「蛸一がそうした攻撃を受け止めていたんだ」
おっさんは子供達に話した。
「それでだよ」
「えっ、そうだったんだ」
「ただかわして受けているだけじゃなかったんだ」
「大阪を傷付ける攻撃は受け止めていたんだ」
「あの八本の手で」
「そうさ、蛸一は確かに喧嘩は出来ないさ」
それは本当に誰よりも弱い。
「けれど戦うことは出来るんだ」
「攻撃出来ないのに」
「それでもなんだ」
「そうだ、攻撃はしないが護ることは出来るんだ」
おっさんは子供達に笑顔で話した。
「大阪の街と人達を」
「つまり僕達も」
「僕達も護ることが出来るんだ」
「そうなんだ」
「そうだ、そのことがわかったな」
おっさんは子供達に笑顔で話した。
「あいつはそうした奴なんだよ」
「喧嘩は弱いけれど」
「それでも戦えるんだね」
「そして護ることが出来るんだ」
「今みたいに」
「そうなんだよ、しかも勇気もあるんだ」
それも備えているというのだ。
「大阪の街とわし等を護るな」
「そういえば全然怖がってなかったよ」
「兎達に向かっていってたよ」
「喧嘩弱いのに」
「それでも」
「そうさ、弱くても大阪とわし等のピンチには絶対に出て来るんだ」
まさにというのだ。
「大阪二十六戦士だからな」
「それでなんだ」
「勇気を以て戦って」
「そうして攻撃をかわして受け止めて」
「大阪の街も僕達も護るんだ」
「そうした奴もいるんだよ」
笑ったままだ、おっさんは子供達にまた話した。
「そしてそのそうした奴がな」
「蛸一なんだ」
「弱いけれど勇気を以て戦って」
「そうして護るんだね」
「そうした人なんだね」
「そうだ、これで蛸一のことがわかったな」
このことも問うたおっさんだった。
「いいな」
「うん、わかったよ」
「僕達蛸一を見直したよ」
「本当にね」
「よくわかったよ」
皆で言う子供達だった、そしてだった。
彼等はもう蛸一を弱いと馬鹿にすることはなくなった、そして蛸一を慕い彼と一緒に遊んだり彼が焼いたたこ焼きを食べて楽しんだ。蛸一はそんな子供達を笑顔で同じ時間を過ごしながら大阪の街と人々を護るのだった。
喧嘩は弱いが 完
2017・12・27
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ