第37話 =過去=
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くらいに。
「……その人…ケイタさんは?」
「自殺した」
明らかに椅子に座っていたアスナの体がビクリと震えるのがわかった。アスナは多分、仲間が死ぬ場所は見ても自殺するなんて
ことを見た経験は無いのだろう…
「多分…アイツは俺とキリトを…友達を奪った悪魔みたいに思いながら死んだんだと…思う…」
「あの時、俺がビーターだって事を隠していなければ、あの罠の危険性を納得させられるはずだったんだ。だから……ケイタや、みんなを殺したのは……俺だ」
この点だけに関しては罪逃れをする気は無いが多分危険性を知らせていなかったのは全部キリトの責任になるだろう…でも俺があそこにいればキリトの意見に賛成していたから皆を連れて帰ることは出来た…わがままなんかでみんなの命を奪ったと同然なのが俺なんだ。
時折夜に俺は「お前は幸せになる価値は無い」となんども言われる悪夢を見てしまう時がある。
「わたしは死なないよ」
俺も思い出して悔しくなり顔を伏せていると突然、アスナが声を出しキリトを抱きしめる。その光景だけ見ていると恋人…ではなく母親のようでキリトに入っていた無駄な力も抜けていった。
「だって、わたしは…わたしは、君を守るほうだもん」
そう言って、アスナはその胸のなかによりキリトの事をそっと包み込む。今、俺は空気な状態だけど逆にそれでいいと、そのときは思った。多分キリトの傷を癒せるのは元メンバーのサチでも、俺でも、SAO開始時からの親友クラインでもなく今目の前でキリトを抱いているアスナしかいないと思う…
これくらいの幸せなら…与えてやってくれよ、ケイタ…その分の恨みは俺が全部受け止めるから…
――――――
その十数分後、ようやく離れた2人はやっと俺のことを思い出したのか顔を紅くし2人して部屋の両端に座っていた。距離をとったつもりなんだろうけど…いまさら感が半端ない。
「……」
「黙るな、俺が苦しくなる」
「え、あ、うん…」
「でも…うん、いいものだな〜ユカとかには報告しておこう」
「ちょっと!?お姉ちゃんに言うの!?」
「…いや、俺アイツに隠し事できないし」
いままで何度嘘を見破られたことか…でももともとアスナにあのことを話したということは当事者の1人のサチには伝えなくて
はならないだろう。絶対その過程で聞かれるな…と思いながら軽く笑う。
「じゃ、また明日。俺も明日は本部行くから」
「…あぁ、また明日な」
「ギルド仕事頑張れよ、キリト」
そういいドアを開き俺はその部屋から出る。…今日はあいつ等のおかげで俺の中に巣くってた毒も一気に出せた気がしてなんだ
かすがすがしい。少し上機嫌になりながら日が暮れ始めてきたアルゲードを歩き続け、俺は家に帰る
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