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喧嘩は弱いが
第一章
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                喧嘩は弱いが
 南蛸一は大阪二十六戦士の一人だが喧嘩はからっきしなことで知られている、子供達は彼が喧嘩に弱いことからいつも思っていた。
「何であの人二十六戦士なのかな」
「そのうちの一人なのかな」
「喧嘩が弱いっていうのに」
「どうしてかな」
「戦士って強いよね」
「けれどあの人弱いのに」
「どうして二十六戦士の一人なのかな」
 大阪の街と人々を護るうちのというのだ、正確に言うと蛸一は人間ではないので一匹と言うべきである。
「不思議だよね」
「弱いっていうのに」
「何で戦士なの?」
「弱くて大阪の街護れるのかな」
「私達も」
 彼等は不思議に思っていた、そしてこのことは蛸一の耳にも入っていたが彼は笑ってこう言うだけだった。
「まあわいほんま弱いからな」
「おいおい、そこでそう言うのかい」
「弱いのを認めるのかい?」
「自分で」
「そうするのかい」
「ほんまのことやから」
 自分の屋台でたこ焼きを焼きつつ言うのだった。
「嘘はあかんから」
「それでかい」
「自分で弱いっていうのかい」
「喧嘩はからっきしだって」
「そう言うのかい」
「そや、それでもな」
 こうも言った彼だった。
「僕は弱いけどやるべきことはやるで」
「そうするんやな」
「戦士として」
「やるべきことをやる」
「そうしていくんやな」
「そのつもりや、頑張ってな」
 そうしてとだ、笑って話した蛸一だった。「皆の為にも戦うわ」
「そうか、そやったらな」
「頑張ってくれや」
「たこ焼きも焼いて」
「そのうえでな」
「そうしてくわ」
 こう言って実際にだった、蛸一はたこ焼きを焼きいざという時に備えてもいた。そしてその時は来た。
 大阪の街にかつてない災厄が来た、何と兎の姿をした異様に目つきの悪い黒とオレンジに白のユニフォームを着た者達が大阪の街に降り立ってきたのだ。
「何だあの連中は!」
「巨人の手先か!?」
「阪神の街である大阪を占領しに来たのか!」
「大阪を巨人の支配下に置くつもりか!」
「何て奴等が来たんだ!」
「ジャビーーーーーーーーーッ!!」
 邪悪な兎達は奇声を発し大阪の街に攻め込もうとしている、禍々しいGの旗を掲げそうして攻め込んで来るが。
 しかしだ、その彼等に大阪二十六戦士達が向かった。
「そうはさせないぞ!」
「大阪の街は我々が護る!」
「阪神を護れ!」
「阪神愛を護れ!」
 彼等は兎達に向かう、その中に蛸一もいたが。
 子供達はその蛸一を見てだ、心配して言った。
「えっ、蛸一が?」
「蛸一も戦うの?」
「勝てる筈がないのに」
「何で向かうの?」
「他の大阪の戦士達と違って弱いのに」
「無茶だよ」
「いや、よく見るんだ」
 
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