待望
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トライクも取れた。次はストレートで振り遅れさせる)
緩い球から速い球。基本中の基本だが、これをされると如何なる打者も苦しまずにはいられない。花陽は要求通りのストレートを投じ、ツバサはこれを打っていく。
「ファール」
三塁線への当たり。わずかにラインを割ってしまいファールの当たり。それでもツバサの顔に焦りは見えない。いつでも決めることはできるといったような、堂々とした姿。
(追い込んでいるのにまるで焦っている様子がない。ストレートも振り遅れたというより逆らわずに流しにいった感じだし、やっぱりツバサさんはすごい)
それでもここで引くわけにはいかない。カウントはこちらが有利。ならば残りはボール球を振らせにいってもいい。
(もう1球ナックルを試そう。外れてもいいから)
(わかった)
追い込んでから再度ナックルでタイミングをずらしにいく。ツバサはこれに動くが、足を踏み込んだところで動きを止めて見送る。
「ボール」
外に外れたボール。それでも打者は反応を示していることから集中しきれていないことがわかる。
(高めに釣り球を入れるよ。打たれても負けないように全力でね)
高めのストレート。それもボール球で勝負に出る。113kmと表示されたストレートにツバサは食い付きバックネットへのファール。
(スピードは序盤ほどじゃないけどノビはすごいわね。思わず手が出ちゃったわ)
ボール球に釣られたことに反省しつつ一度打席を外す。二、三度素振りをしてから打席に入り直すと、バットを投手に向けてから構えに入る。
(あれ?あんなルーティーンあったっけ?)
今まで見たことない仕草に首を傾げる穂乃果。だが、大して重要な項目ではないのでここはあえてスルーする。
(あいつ、どこまで孔明に似せるつもりだ?)
ただ、西村はその動作に見覚えがあった。それが自然に出てきたのか意識的にやったのかはわからないが、彼は間違いなく今のツバサの集中力は高いと確信を持った。
(高めから低めへの揺さぶり。これが決まればツバサさんだって打てない)
ワンバウンドするスライダー。人の目は高低への揺さぶりに対応するのが難しいため最も効果的な攻め方。
ビシュッ
決めにいった変化球。しかし予定よりも低く入ってしまい打者は反応を見せない。それどころかベース手前でバウンドしたため穂乃果も後逸しそうになる。
(行け―――)
それを見て三塁を陥れようとした英玲奈だったが、1歩踏み出したところでストップをかける。ワンバウンドの難しいボールを体を張って止めた穂乃果がすでに右手にボールを握っており、走っていれば完全に刺されていた。
「ごめん穂乃果ちゃん!!
「大丈夫だよ!!腕振っていこ!!」
カウ
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