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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット5
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て来ていた。
 革鎧から私服らしい白いミニ浴衣を羽織り、厚手の生地の茶色いハーフパンツを履き、靴から藁草履に変えて来ていた。

「・・・やあ、チョウキ・・・」

「お前はまた、別の女に手を出そうとしていたのか?」

「いや、全然知らない娘がいきなり隣に座って来たんだよ?」

「ほーう?」

 一層不機嫌そうになるチョウキに、バルジェンは困ったように後頭部を掻きながら記憶を手繰り寄せつつ言う。

「どっかで見たような娘だったけど。不気味な感じの」

「どこかとは何処だ?」

「ナンパしたとかじゃないんだからそんなに怒らなくてもいいじゃん・・・」

「むう・・・。で、何処で見たのだ?」

「冒険者の酒場だったんじゃないか〜なぁ〜・・・。討伐に誘って来た娘たちの片割れかも」

「まさか、ミエルか?」

「あー、そんな名前名乗ってた」

「むぅ!」

 チョウキは?を膨らませると、彼の左の椅子を正面の椅子の右真隣に移動させてから彼の右隣の椅子を彼に密着するように移動してから飛び乗るように座って彼の右腕に両腕を絡ませてしなだれかかって来る。

「あれはダメな奴だ」

「駄目ってお前」

「アレは色んな男を取っ替え引っ替え喰うような無自覚淫乱女だ!」

「・・・無自覚淫乱女ってお前が言うか・・・」

「とにかくアレはダメだ」

「あ、はい・・・」

 不満気に呟くチョウキを見て、バルジェンは小さくため息をつくと再びメニューを開いて見た。

「エルフ酒って何?」

 話題を変えてみると、チョウキは不機嫌にしながらも左頬を彼の腕に預けて答えてくれる。

「米で作った蒸留酒だ。単純に酒と言えば、エルフ酒を差すのが一般的だな」

「ようは日本酒みたいな物か」

「日本酒って何だ?」

「・・・いや、よくわからないけど。ほらあれ、透明な酒でしょ?」

「ドブロクでもなければ酒は透明なのは当たり前だぞ」

「ああ、うん。まぁ、そうね」

 チョウキはそんな調子のバルジェンを見て、とても安心しきった様子で体重を彼に預けて目を閉じた。

「酒が飲みたいのなら、良い銘柄を知っているぞ。少々割高になるがな」

「いや、どちらかと言うとウィスキー派だけどね」

「ウィスキーとは何だ?」

「透明度の高い琥珀色の酒?」

「ああ、オーガ酒の事か。一般にはウィシュテーと呼ばれているな。ウィシュテーをウィスキーと発音するのは少々訛りすぎではないか?」

「そう?」

「そうとも・・・。私は苦手だがな・・・」

「酒は次の日まで残り易いが、ウィスキー・・・ウィシュテー?は残りにくいし、味が濃いから好きだけどな」

「酒は嫌いなのか?」


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