第四十四話 白の国へ
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じめ、見目麗しいメイドが二人マクシミリアンたちの後に続いた。
狭い艦内を駆け甲板に出ると潮の香りが二人の鼻をついた。
ベルギカ号は、蒸気機関の力でスクリューを回転させゆっくりと船着場を離れた。
「すごいですわ! フネが自分で動いている!」
カモメがニャアニャアと鳴きながらベルギカ号の周りを飛び交い、カトレアの側を飛びぬけた。
「きゃあ!」
「大丈夫か? カトレア」
「大丈夫ですわ、マクシミリアンさま。でもちょっとビックリしました」
マクシミリアンはカトレアの腰に手を回し抱き寄せた。
「これが、マクシミリアンさまの作ったフネなんですか?」
「僕が作ったわけじゃないけど、まあ……理論を提供したのは僕かな」
ベルギカ号は、見る見るうちに沖へと進んだ。
カトレアは、抱き寄せられながらマクシミリアンの手を撫で、遠くなるヴァールダムを見た。
「カトレア、不安かい?」
「不安半分、好奇半分を言った所でしょうか。アルビオン王国は確か『白の国』と呼ばれていましたわよね?」
「そうそう、浮遊大陸から流れ落ちた水が、白い霧となって見える事からそう呼ばれるようになったと聞いている」
「早く見てみたいですわ」
しばらくマクシミリアンとカトレアは甲板で行き交う海鳥を見ていた。だいぶ沖まで船は進み、連絡役の若い水夫がやって来た。
「お楽しみの中、申し訳ございません。本艦は間もなく離水いたしますので、一度部屋に戻られますようお願い申し上げます」
「分かった。行こうかカトレア」
「はい、マクシミリアンさま。水夫さんご苦労様です」
「ありがとうございます! 王太子妃殿下も大変お美しいです!」
そう言って、平民出身の水夫はカトレアの笑みに顔を真っ赤にして去っていった。
「……」
「もしかしたら妬きました?」
「バーロー、違うわい」
「ウフフ、妬いてくれて嬉しいです。妬かれもしなかったら、とても悲しいですから」
そう言って、カトレアはマクシミリアンの腕に手を回し、腕に当たる胸の感触がマクシミリアンの脳を直撃した。
「おいおい、人が見てる」
「うふふふ」
人目をはばからない若い夫婦を冷やかす様に海鳥達は空を舞い続けた。
☆ ☆ ☆
ベルギカ号で一泊したマクシミリアンとカトレアは、朝食に最近開発され、軍隊食としてトリステイン陸空軍に支給されるようになったポークビーンズの缶詰を試してみた。
『王族が食べるには不釣合いです』
と、ド・ローテルは最初断ったがマクシミリンたっての願いで
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