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真剣で納豆な松永兄妹
新章プロローグ
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高めあう行為を止められるとしたら、相対する2人しかいない。
 
 川神百代は感動と興奮。そして、感謝で満ちていた。
 これ以上は無い。まさか、相手が戦いの中で成長して実力が均衡するなど始めての経験だ。
 梃子摺る事にも梃子摺る彼女。敵は無く、孤独。
 だが、どうだ。友であり、ライバルであり、強敵になった相手。
 きっと生涯のライバルになるだろう。きっと、生きている限りライバルであり続けられるだろう。
 それがどれだけ稀有な存在か。
 感謝しよう。勝っても負けてもきっと私は感謝する。
 戦いの最中で思う。この戦いがずっと続けば良いのに、と。
 でも、それは不可能。始まりがあれば終わりがある。
 見たところ蓄積ダメージは五分。あと数分持つかどうか。
 ああ、やめたくない。終わりたくない。勝ち負けはどうでも良い。もっとこの幸福な時間が続けば良いのに。
 一度きりじゃない。でも二度はない。
 この決闘はそういうモノだ。

「……」
「……」

 語る言葉は無い。だって、私達は通じ合っているから。
 次が全身全霊の一撃だ。残る全ての力を引き出す。

 充実した。満足した。感服した。感謝した。
 であるならば、加減は無用。
 壮絶な打ち合いは止まり、静寂が訪れる。
 きっと、皆も理解した。
 次が最後。終わり。終焉。
 幕引きは主演が行う。
 
 拳が交差する。互いの全身全霊の一撃。潜在能力の限界を突破して成長し、さらに成長の限界を無くす。
 その2人。限界を無くしたどこまでも成長する2人の拳が決着の鐘を鳴らした。



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