第百三十五話 餓鬼その九
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「十二時になると道場に行っているのかも知れない」
「この学園にいるとなると」
「地縛霊だな」
「そうなるね」
「地縛霊と言っても様々だ」
「いい地縛霊もいれば」
「悪いものもいる」
この辺りは実体のある人間と同じだった、とはいっても人間と幽霊の違いは緒戦身体があるかないか位だ。
「そしてその人はだ」
「いい地縛霊だね」
「実体がなくなっても鍛錬を続けているな」
「そうなるんだ」
「私はそう思う」
こう僕に話してくれた。
「その人はな、しかしだ」
「しかし?」
「その鍛錬は霊界ですべきかも知れない」
「人間の世界に残らずに」
「そうも思う」
僕にこうも話してくれた。
「六界の何れかでな」
「人間界に残らずに」
「そうも思う」
人間界以外の他の五つの世界でというのだ。
「何でも霊界には修行する場もあるそうだからな」
「煉獄かな」
「キリスト教で言うな」
「そういえば仏教でもあったね、そうした世界が」
「そこにいるのかも知れない」
こうも言うのだった。
「だからその人はだ」
「本来はだね」
「あの世界に行くべきではないのか」
霊界の修行すべき場所にというのだ。
「そうも思う」
「成程ね」
「あくまで私の考えだがな」
「いや、そうかも知れないね」
絶対とは言えないがだ、僕は留美さんに答えた。
「人界ではなく霊界のそうした場で修行すべきかも知れないね」
「その人はどうも人格者だったらしいからだ」
留美さんはその人の生前の話もした。
「地獄道や餓鬼道には堕ちまい」
「それはないだろうね」
「この二つの世界はそうは堕ちない」
地獄道の方が酷いとされるが僕としては餓鬼道の方が酷いと思う、ああした餓えた浅ましい存在にはなりたくない。
「相当な悪辣巻か下劣漢でもないがな」
「世の中そうした人もいるけれどね」
「しかし稀だな」
「まあね」
その通りだった、そこまで堕ちた輩も実際滅多にいない。
「餓鬼になったり地獄に堕ちたりする人間は」
「畜生道もだ」
つまり人間以外の生きものへの転生はというのだ。
「これは色々言われているが」
「宗教によっては卑しい人が畜生道に入るっていうね」
「天理教等がそうだな」
「うん、そうだよ」
天理教の教会で実際に聴いた、この話は。
「教祖さんを毒殺しようとした人が」
「かよとかいったな」
「その人が死んでね」
「牛になって帰ってきたとあったな」
「そう言われているね」
「公式の話ではないそうだが」
そう聞いている、それで天理教の神殿本部北側の礼拝の場に入る柱に牛の顔の形が描かれているというのだ。
「あるな」
「留美さんも聞いてるんだ」
「土地柄な」
「ああ、そうなんだね」
「天理教の人と
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