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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第百三十五話 餓鬼その七
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「自分で他人にそう言う人はね」
「確かに。そう言われますと」
「どうかと思うよね」
「面と向かって言われたら」
 その言ってきた人にというのだ、円香さんは僕に話した。
「そう思います」
「そうですよね」
「はい、とてもです」
「僕もだよ、そんなこと自分で言う人はね」
「尊敬出来ないですね」
「逆に軽蔑するよ」
 そうなる自信があった、それも絶対のものが。
「間違いなくね」
「そうなりますね」
「うん、立派な人は自分を立派とは思わないよ」
「常に己を振り返っているから」
「それで反省しているからね」
 自分がどれだけ駄目かとだ。
「それで精進しているからね」
「立派になっていますね」
「そうだと思うよ、そんな他の人に自分を尊敬しろとか言う人は」 
 親父に言われた、御前は間違ってもそんなことを言う人間になるとだ。それも何度も言われた。
「ふんぞり返ってるからね」
「自分が偉いと」
「そんな人は努力しないから」
 する筈もない、自分がこれ以上なく立派と自惚れてどうして努力なぞするか。まだ及ばない若しくはまだよくなると思ってこそだ。
「だからね」
「立派にはならないですね」
「尊敬されるどころか軽蔑されるよ」
 まさに正反対にだ。
「逆に馬鹿にされるよ」
「はい、言われてみれば」
「円香さんもそう思うよね」
「そうした人は」
 円香さんは顔を曇らせて僕に話した。
「好きになれません」
「絶対にだね」
「どうしても」
「人は自分を至らないと思うから」 
 まさにそれ故にだ。
「努力するからね」
「そうですね」
「若しくはまだよくなると思うから」
 努力するものだ。
「その人はね」
「立派だったのですね」
「自分を振り返って駄目だと思っていたから」
 そして自省していたからだ、それも常にだったのだろうと勝手に想像した。
「立派な人だったんだよ、それでね」
「お亡くなりになっても」
「努力をしているんだよ」
 合気道の稽古、それをだ。
「そうは出来ないよ、ただね」
「ただ?」
「成仏していないんだね」
 死して尚稽古に励んでいる、それならばだ。
「ということはまだこの世に思うところがあるのかな」
「合気道について」
「やっぱりそうなのかな」
「そうなりますか」
「その思うところは何かな」
 このことが気になった。
「一体」
「合気道についてでしょうか」
「ちょっとそこが気になるね」
「そうですね」
 こうした話を二人でそれぞれの部活に向かう途中で話した、そして僕は部活で汗を流した。そして午前の休憩時間にだ。
 体育館の外に出て持って来たタオルで汗を拭いているとそこに上下共に白の留美さんが来た、その留美さんの方から僕に声をかけてきた。

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