第三章
[8]前話
「わしも中々思いつかなかったわ」
「何でも炭をですね」
「水道水の中に入れてですよね」
「それでカルキを消して」
「それであの味ですね」
「うむ、そうしたのじゃよ」
まさにというのだ。
「それで味がよくなったのじゃ」
「いや、意外ですね」
「炭はそうしたことにも使えるんですね」
「燃やすのに使うだけでなく」
「水も美味くするんですか」
「そうなのじゃ、わしは魚じゃからな」
草魚、この魚だからだというのだ。
「水のことはよく知っておるつもりでな」
「それで、ですか」
「水道局の人達とお話をして」
「そしてですね」
「そうしてもらった」
水を変えてもらったというのだ。
「よかったわ」
「それでもですか」
「それは当然のこと」
「そう言われますか」
「そうじゃ、わしは大阪二十六戦士じゃ」
大阪の街と人々を護る者だというのだ。
「ならばこうしたものもな」
「当然ですか」
「だからお礼もいい」
「そうだというのですね」
「そうじゃ、それはよいわ」
別にというのだ。
「だからな」
「それでは」
「わし等はこのままですか」
「飲んでいればいいですか」
「水道の水を」
「それを楽しんでくれれば嬉しい」
草魚としてはだ、こう話してだった。
草魚は己の棲み処である淀川に飄々とした物腰で帰った、そうして草魚本来の姿に戻って休んだのだった。次に彼が動くべき時に備えて英気を養う為に。
美味い水 完
2017・12・26
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