第一章
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美味い水
淀川草魚はこの時大阪市の老人達から話を聞いていた、今は人間の姿になっていてそのうえで彼の家に来た老人達とそうしていた。老人達は口々にぼやいていた。
「いや、最近本当にですよ」
「大阪の水はは悪くなりました」
「まずいですよね、水道水」
「もうカルキ臭くて」
「夏なんか白湯にしないと飲めないです」
「どうにかならないでしょうか」
「ううむ、水道水か」
草魚は老人達の話を聞いて考える顔になり述べた。
「あれは非常にいいのじゃが」
「便利なことは便利ですよ」
「わし等もそう思ってます」
「井戸の水や川の水よりもずっといいです」
「いつもすぐに使えて飲めますから」
「このことはいいんですよ」
「清潔ですし」
老人達もこのことは認めた。
だがそれと共にだ、こうも言うのだった。
「ですがまずくて」
「特に夏は」
「それがどうにかならないか」
「そう思ってるんですよ」
「そうじゃな、夏に白湯を飲むのもな」
熱いそれをとだ、草魚もそのことを想像してから話した。
「あまりのう」
「ですよね、ですから」
「何とかなりませんか」
「草魚さんのお力で」
「水道水を美味く出来ませんか」
「やってみよう」
大阪二十六戦士の一人、正確に言うと魚なので一匹となる。今は人間の姿だが普段は草魚であり淀川の中に住んでいるのだ。
「水道水のことをな」
「宜しくお願いします」
「やっぱりお水なら草魚さんですから」
「草魚さんならと思いわし等もお話しましたし」
「是非です」
「大阪の水を美味しくして下さい」
「ではな」
草魚は彼等に約束した、そしてだった。
彼は早速水道水をどうすれば美味くなるのかを考えた、それで水道局まで行って局員の人達と話をした。
「そうした話があってな」
「ああ、夏は特にですよね」
「水道水まずくなりますよね」
「カルキの匂いがきつくなって」
「どうしても」
水道局の人達も応えて言う。
「私等もわかってます」
「けれど消毒しないと駄目ですからね」
そのカルキでだ。
「さもないと衛生的にまずいですから」
「ですからカルキは」
「どうしても必要です」
「そうじゃな、しかし水道水をそのまま飲めぬのも事実」
このことはと言う草魚だった。
「そこをどうするかじゃ」
「沸騰させてカルキ飛ばしたらってのは」
「もう言うまでもないですよね」
「誰でもしてますし」
「夏にこれは」
「うむ、どうにもな」
実際にすると、と言う草魚だった。
「お湯は夏にはまず飲まんな」
「やっぱり冷たい水でないと」
「夏はきついですね」
「冬ならいいですが」
「どうしても」
「そうじゃ、それはお年寄りの人達も言っておって
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