第二章
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「絶対に言えないけれどね」
「言える筈ないわよね」
「女の子が水虫とかね」
「そんなの言えないわよ」
「男の人でも辛いでしょうし」
彼女に言うことはというのだ。
「こっちも言えないわね」
「水虫も」
「そうよね、しかも今の彼氏はね」
愛はこうも言った。
「久し振りにできたしね」
「そうそう、愛ちゃんずっとね」
「彼氏いなかったわよね」
「縁がなくて」
「それでよね」
「結婚もね」
このこともと言う愛だった。
「そろそろね」
「私達もそうよ」
「もうそろそろね」
「考えないといけないし」
「それじゃあね」
「今はね」
「そう思ってるしね」
それでというのだ。
「余計に、こうしたことはね」
「言えないわよね」
「結婚考えてるなら余計にね」
「マイナス印象になるから」
「便秘とかね」
「だからもう絶対に言わないし隠していくわ」
絶対にという口調だった。
「そうしていくわ」
「それがいいわ」
「こうしたことはね」
「もうお墓まで持って行く」
「そうしないとね」
友人達も愛と同じ意見だった、そうした話をしつつも給料が入ったお祝いの焼き肉とビールを楽しんでいた。
愛はこの日も次の日も便秘に悩んでいた、彼氏には言っていないがそれでもだった。便秘自体は続いていた。
それが十日続いた、その十日目にだった。
愛は休日彼氏と一緒にデートをしていた、それでなんばCITYで買いものをしていたその時に急にだった。
来た、そう感じて彼氏に笑顔で言った。
「ちょっといい?」
「どうしたの?」
「おトイレ行きたいの」
こう言うのだった。
「これからね」
「そうなんだ、じゃあね」
「悪いけれど少し待っててね」
「わかったよ、それじゃあね」
彼氏は近くの店に入って時間を潰すことにした、そしてその間にだった。
愛はトイレに行った、そうしてだった。
暫くして満面の笑顔で出て来てだった、彼氏のいる店まで行って言った。
「お待たせ」
「待ってないよ、じゃあね」
「ええ、お買いもの再開しましょう」
「それじゃあね」
彼氏も笑顔で応えた、そしてだった。
デートは再開された、だがその彼は次の日彼の職場で友人達に休憩時間に話した。
「昨日やっとね」
「ああ、付き合ってる娘がか」
「出たんだな」
「そうなんだな」
「うん、もう凄い笑顔だったよ」
愛の満面の笑顔を思い出しながらの言葉だった。
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