人狩りの夜 2
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は酒脱なおしゃべりに絶えぬ笑いが満ちている。美味佳肴が舌を楽しめ、のどを潤す――そして、運が良ければ楽しい舞踏劇など」
「……なにが言いたいのだね、イーグル卿」
「いや、なに。この予期せぬ出来事を利用して、狩りとは趣の異なる遊興などどうかと」
「ほう、それはどのような遊興かね」
「知っていますぞ、館主殿。あなたがサイネリア島の研究所からいろいろと珍しいモノを買い取っていると」
「ほぅ、サイネリア島にある研究所というと帝国白金魔導研究所だが……」
白金術。
肉体と精神をあつかう白魔術と元素と物質をあつかう錬金術。そのふたつの複合魔術、生命そのものをあつかう白金術は不治の病の治療や欠損した四肢や臓器の再生などの医療に貢献するいっぽう、複数の動植物をかけ合わせて産み出す合成魔獣と呼ばれる生命体の創造など、命をもてあそぶ禁忌の面も持っている。
「そのような所から買い取る珍しいモノといったら、やはり合成魔獣ですか」
「マンティス卿の察しのとおり、愛玩用に何匹か飼っておる」
「どうです館主殿、今夜は愛玩用ではなく番犬代わりに使ってみては」
「それは面白そうだ」
「本物の合成魔獣に人間が引き裂かれるところ、ぜひともこの目で見てみたい!」
「いや、今宵の闖入者が噂に聞くペルルノワールだとしたら合成魔獣といえども――」
「侵入者が勝つか、ペルルノワールが勝つか――」
「どちらが勝つか、賭けてみないか?」
館の主であるクェイド侯爵の返事も待たずに、すでに合成魔獣対ペルルノワールという話の流れになっていた。
「……いいだろう、防犯上の不手際でせっかくの狩りが中断してしまったお詫びを兼ねて、今宵集まったみなさまにとっておきの合成魔獣らを見せようではないか」
「さすが館主殿!」
鳳凰の間が歓声につつまれた。
「――そうね、美少女仮面ペルルノワールの仲間なんですもの。やっぱり仮面が必要よ」
「はぁ、でもどこに仮面があるんだ。あのブタガエルのつけてたペストマスクはお断りだぞ」
「あなた東方人よね。東方には『鬼』というとても強い怪物がいるんでしょ」
「ああ、たしかにこの世界にも鬼がいるそうだな」
ルヴァフォース世界にも鬼と呼ばれる怪物が存在する。修羅に落ちた人の歪んだ精神が肉体をも異形と化した。そんな存在だ。
「鬼面と呼ばれる東方のマスクは、たしかこんな感じだったわよね」
懐から取り出した手巾をひるがえし、なにか呪を唱えると、手巾は顔の上半分を隠す鬼の面に変わった。
錬金術による高速錬成だ。
「高速錬成だから永続はしないけど、今晩くらいは持つわ」
「これをつけろと? まぁ、たしかにフードより顔を隠せるが」
いかにも悪
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