Side Story
アンサンブルを始めよう
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き気味なロザリア。帽子のつばで顔が隠れてる所為もあってか、彼女の周辺だけが剣呑な雰囲気になっている。
時々、苛立ちを抑えきれない様子で地面を蹴ってるんだけど……近寄っても大丈夫なのかな、これ。
んな面倒臭いコト実際にやってられるか! と見送られていた往復平手打ち千発が、遂に実行される?
「なぁ、クロスツェル」
ふと顔を上げたロザリアが、投石してもギリギリ届かないであろう距離で立ち尽くす私に向けて「いつも通りの」声音を放つ。
どうやら、怒りの矛先は私ではないらしい。木の陰に隠れている必要は無さそうだ。良かった。
「どうしたんですか?」
「お前、とりあえず猪の姉ちゃ……じゃない、プリシラ? だっけ? に、会いに行くっつってたけどさ。ソレ、後回しでも良いか?」
「できれば顔を合わせたくないので彼女にも通じる正当な理由が有るなら私としては引き伸ばしも後回しも有れば有るだけ大歓迎です。お好きなだけどうぞ」
「……本当に苦手なんだな、あの二人……。まぁそりゃ、寝てる間にあんなコトされたら普通は……」
「その記憶はルグレットさんに跡形も残さず全部消してもらってください。良いですね。」
「ふぇっ!? ぃや、えと! ごめんなさい!?」
顔を間近で覗き込んだ途端、涙目になったロザリアが自らの両肩を掻き抱いた。
そんな、全身でぴるぴる震えなくても……。
べゼドラといいアーレストといいロザリアといい、私の真顔はそんなに怖いのだろうか? いつもなら不意に近付いてしまっても、赤くなるか睨むか両手で顔を押し退けるか、なのに。此処まで露骨に怯えられると、少々切ない。
「私の過去はどうでもいいとして。何処へ行くのですか?」
「あ、あー……うん。お前も知ってるトコ……」
私が一歩退いて安心したのか、両腕をだらりと落として息を吐く彼女。
「私が知っている所?」
「残りは私に付き合ってもらうって言っただろ? 借りを返しに行くんだよ。ちょっとした騒ぎになると思うけど、お前は一切口出しするな」
「!」
白い指先が私の鎖骨付近に触れた瞬間、喉と耳奥に違和感を覚えた。聴こえる音に変化は無いが……声を封じられたらしい。試しに発声してみても、自分の耳には届かない。どういう仕組みなんだろう?
(昼食は良いのですか?)
「終わったら人数分作れ」
おお。思考は繋がってるのか。面白い。
……って
(人数分?)
「ん。行くぞ」
答えになってない答えが返ってきた直後、目に映る景色が形を変えた。
千切れ雲が浮かぶ青い空は、繁る枝葉で覆い尽くされ。
歪な楕円形の湖は、齢何千の域を軽く超越しているであろう巨木の幹に。
辺り一帯を見渡せば、遠く離れた場所で半透明な人間や動物が一列に並んで木の周り
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