Side Story
アンサンブルを始めよう
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いただけで……「彼女」と、「彼女」を映した「鏡」に、確固たる性別は無いんですよねぇ……)
マリアさんや、レゾネクトの娘に当たるロザリアが知ったらどうなるか。想像も及ばなかったので、いつか可能な限り穏当に、さりげなく教えるつもりだったのだけど。こうまで堂々と衆目に曝されてしまっては、誤魔化すのも難しい。
諦めよう。
「…………マヂか」
「えぇー……」
「……ま、魔王が……女、じゃと……」
背後に聴こえる、殿下達の呆気にとられた声。元の造形美を絶妙に残しながらも妖艶な雰囲気を醸し出す絶世の美女と化したレゾネクトが、私を見て不思議そうに瞬く。
「おかしいか?」
(ええ、まあ。現代人には結構な非常識だと思いますよ。他ではどうか知りませんが)
「植物や虫や微生物の世界では普通だが」
植物や虫や微生物と貴方を同次元に並べるのはちょっと……なんて考えていたら、少し離れた場所から重い荷物を地面に落としたような、鈍い音が聞こえてきた。
まさかと振り向いた先で、ロザリアが仰向けに倒れている。
(ろ、ろざりあーっ!)
慌てて駆け寄り、肩を抱き起こしてみるも、彼女の意識は完全に飛んでいた。
「幻の類じゃないんだな……。ご愁傷様、としか言えん。」
「無性別なのか、両性具有なのか。子孫を残してるから両性具有かな」
「口伝では魔王は男だと……では、あれは偽物か!? しかし、あの気配はっ」
「それで? 俺はどうすれば良いんだ?」
本来居てはいけない場所に居る人間の権力者と、女神の力を封印している人間の女性と、落ち着き無くあたふたしているエルフの少女と、真実の衝撃に耐えきれなくなった女神と、天然な一面を見せつけてくれる元魔王と、根っこを降りるのも一苦労な無力すぎる私。
なんかもう、滅茶苦茶だ。
こんな調子では、ロザリアを強引に起こしてもレゾネクトを見た瞬間に気絶、を延々と繰り返しそうな気がするし、どうすれば良いのかと尋かれても……どうすれば良いんでしょうね?
(とりあえず、私の声を戻していただけますか? 今後について殿下方と話し合わなければいけませんし。一応、貴方も参加してください)
「分かった。ところで、口付けがどうとかはもう良いのか?」
まだ引きますか。その話。
「どっちにもなれるヤツに対応する「異性」は無いだろ。消化不良は否めないが、教育的指導にならないんじゃ意味が無い。誰彼構わず喰らい付くもんじゃないってコトだけ覚えとけば良いさ。ああでも、ロザリアとアリアが起きてる間は男になっとけ。さすがに気の毒だ」
「前半はともかく、後半は気にする事でもないと思うが……そうしておこう」
「いや、娘の気持ちくらい気に掛けてやれよ。幾らなんでも不憫が過ぎるぞ」
その娘の前で父親に口付けた男性
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