Side Story
アンサンブルを始めよう
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ロザリアの声に、遅れること数秒。
「…………何のよ、う?」
私の肩を離した殿下が、現れたかどうかの際のレゾネクトに手を伸ばして頭を鷲掴み
「「「(!!?)」」」
口付けた。
思いっ切り。
唇に。
「…………ふっ。どーよ、見知らぬ相手にいきなり口付けされる気分は! さぞ気持ち悪かろう! ざまぁみろってんだ! フィレス達が抱いた嫌悪感を思い知れ!」
「……あ。ああ……、あれ、ですか…」
一同の理解が追い付かず、なんとも言い難い沈黙が垂れ込む中、もう用は無いとばかりにレゾネクトを放置してフィレスさんの横に並び立つ殿下。彼の宣告で真っ先に正気を取り戻したフィレスさんが、それでもまだ戸惑いを隠し切れてない表情で頷く。
「あのですね、師範。驚きは有っても恐怖とか嫌悪感は無かったから、私は「ひっくり返せなかった」んじゃないかと思うんですが……」
「だろうな。お前が根っからの騎士で、こういう方面に疎いのはよく知ってる。どうせその時は、まさか自分に口付ける異性が存在するとは思ってなかった。だから驚いた。程度だったんだろ?」
「はい」
「認めちゃうんだ……」
ロザリアが引き攣った顔で一歩下がった。
似たような状況? で嫌悪しか感じなかったであろうロザリアには、フィレスさんの反応が信じられないのかも知れない。
「大多数の人間は、出会い頭に口付けなんかされたら著しく気分を害するモンなんだよ。相手が異性なら尚更な。お前もその内解る。つか、解れ。んで、(俺以外には)二度と誰にもさせるな! 俺が不愉快だ!」
「はぁ。元よりそのつもりですが……(何故、師範が不愉快に?)」
「ならば良し!」
お二人共、心の声が駄々洩れです。なんて解りやすい構図。
殿下の最重要目的とはつまり、想い人がされた事への仕返しだった、と。
アリア信仰や国政に関わる仕事で来た訳ではないのだろうか。
「「男」のままで良いのか?」
「……へ?」
棒立ちで殿下を見ていたレゾネクトが、小首を傾げた。
「お前の言い分は、見知らぬ「異性」に突然口付けられた人間の気持ちを考えろ、という物だろう? だったら、「男」のお前が思い知らせるべき俺は、「女」じゃないのか?」
「「「「……は?」」」」
(…………あ。しまった!)
いけない、と焦って足を動かすが。
時、既に遅し。
目が点になった一同の前で、持ち上げられたレゾネクトの右腕が正面の空間を割くようにストンッと下ろされる。その動作で目を奪われた隙に
「これなら条件に合うか?」
レゾネクトの体が、ゆったりした黒い長衣の上からでも判るほどはっきりと、女性の形に変わった。
(……実の所、「彼女」の意思を受けて男性になって
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