Side Story
アンサンブルを始めよう
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……頭を振る。
「今は、会えぬ。だが……もしも、我が帰って来たら……、一番最初に会うてくれるか? 兄上」
手前に降ろされた球体に触れて微笑むリーシェ。ネールが答えたのか、球体は二回ほど点滅し、畑へ向かってゆっくり飛んで行った。
(彼、リーシェに関して何か言ってますか?)
「手を出したら赦さない。だってさ」
……彼は私をどういう人間だと思っているのだろう。ロザリアの件があるから、警戒されても仕方がないのだけども。
(ありえない。とだけ伝えておいてください。其方の二個は?)
ちょっと遣り切れない感じになりつつ、今だに浮いている球体へ目を向ける。と。
此方を目指してふよんふよん飛来し、数歩先で突然、二個同時に破裂した。
中から現れたのは
「あ、どうも。お久しぶりです、クロスツェルさん」
足裏で着地後、背筋を伸ばして深々と腰を折り、丁寧な挨拶をくれたフィレスさん。
それに
「よっ! 間近で会うのは初めてだな。すっげー待ちくたびれたぞ? 元・神父のクロスツェル君!」
顔の横で手を泳がせている金髪緑目の青年…… って!
(まさか、アルスエルナの第二王子殿下!?)
直接対面した記憶は無いし、服装も王族が着用するような物とは程遠いが、その顔は何度か遠目に見ていた。
此処は人間を忌避するエルフの里。マリアさんとの繋がりを持つフィレスさんならともかく、超常の力を持っていない筈の人間……しかも、現在ロザリアが最も警戒すべき「権力者」が何故、内部に居るのか。
「まあまあ。捕まえに来たとかじゃないから、とりあえず落ち着けって。な?」
瞬きの間で接近してきた彼の両手に肩を掴まれ、驚きと焦りで退きかけた足がその場に縫い留められる。
落ち着けと言われても、これは非常に不味い状況なのでは。
(ロザリア? 彼は、いったい)
「人外生物の知り合いがいる人間代表として、事の次第を問い質しに来た、だとさ。メンドクサイから結界の中で私達の記憶を全部見せといたんだが、あと一つ、どうしてもやりたいコトがあるらしい」
やりたいこと?
「そ。現状、俺の最重要目的がソレなもんでね」
左腕で私の肩を抱いたまま振り返り、若葉色の目がロザリアを捉えて愉快そうに歪む。
フィレスさんに何事かと視線で尋ねても、彼女もよく解ってないのか、首を傾げられてしまった。
「レゾネクトに会えるか?」
(レゾネクト?)
「今、此処で?」
「問題が無ければ、此処で」
「別に、呼んでも悪さはしないだろうけど」
腕を組んだロザリアが不思議そうに殿下を見返し、……開き直った。殿下が何を考えていても、レゾネクトが相手なら人間にはどうにもならないと判断したのだろう。
「聴いてたか、レゾネクト」
長の近くへ目配せした
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