Side Story
インナモラーティは筋書きをなぞるのか
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神だから! 外見は鳥でも、野良ではないからな!?』
「俺は元々こういう顔だ。楽しんではいるけどな。お前、守護女神とか言ってずっと潜んでたクセに「今」姿を現したってことは、フィレスを迎えに来たんだろ? 場外から飛び込んで来た見物客が、我が物顔で獲物を掻っ攫って行くとかさぁ。そういうの、許し難いんだよなぁー」
えーと……私は獲物なんですか? 師範。
『現段階で表に出る気は無かった! フィレスが人間世界を離れるまでは今まで通り見守っててやろうと思ってたのに、お前があまりにも莫迦な事を言うからっ!』
「俺にも可能性が有ると言っただけだ。実際にこれからやってもらおうとは明言してない。やる気も無いし」
「『え』」
「えって何だよ、フィレスまで。当たり前だろ? 「私」を誰だと思ってるんだ。現在は北区でそこそこ大きい教会を預かる神父、アルスエルナ王国の第二王子・ソレスタ=エルーラン=ド=アルスヴァリエだぞ。騎士以上に、いきなり消えたら「大勢の民が」困る立場の人間なんだ。簡単に棄てて良いワケないだろうが」
「それは、そうですが」
師範は責任感が強い人だ。面倒臭い事は面倒臭いと言って避けたがりはするが、一度背負ったものは絶対に投げ出さない。気紛れに見える騎士団長の辞職と神父への転職にも、裏にはそれなりの理由が有る筈だと私は踏んでる。クローゼットに仕舞われてた剣が良い証拠だろう。
だからこそ、先程の台詞には驚かされたのだ。
彼が自身の立場と責任を切り捨てるような、ありえない事を言うから。
『本当に? 本当に、試す気は無いんだな?』
「くどい。俺はフィレスの師だ。次期メルエティーナ伯爵・フィレス=マラカイト=メルエティーナを導き、立たせる者。失望なんか、させて堪るかよ」
大人しくなった小鳥を空へ解き放ち、私達に背を向けて歩き出す師範。
私は
『……フィレス、私は……』
「一緒に行きましょう。私の守護女神だという貴女の話も聴いてみたいです」
パタパタと飛んで来た小鳥を右肩に迎え入れ、ふわふわな体毛を一撫でしてから師範の後を追う。
……いや。
「構いませんよね、師範」
師範の左横に出て、並んで歩く。
師範は、私の顔を少しだけ驚いた目で見て
「付いて来れるならな」
優しく微笑んだ。
「はいっ!」
師範は素晴らしい。師範以上に出来た人間など、私は知らない。
理想で、目標な……常にそう在ろうとしてくれてる、私の恩師。
そんな彼の振舞いが。一言が。
私の頬に熱を集め、心臓を高鳴らせ、血液を沸き立たせてくれる。全身の毛が逆立ち、山岳地帯を叫びながら全力疾走したくなるような私の闘志を、際限無く燃やしてくれる。
私こそ、この方を失望させてはならない。
いつの日か必ず追い
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