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逆さの砂時計
Side Story
インナモラーティは筋書きをなぞるのか
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げる。
 どさくさ紛れに足爪で引っ掻かれてたのか、師範の顔は細線だらけだ。
 「ったく。どうしてくれようか、この光る鳥。見世物小屋に売り払うか? 丸焼きか? それとも、丁寧に解体した後で串に刺してやろうか」
 「師範、それは」
 止めたほうが良いのではと言いかけて、パタリと鳴き止んだ小鳥に目を向けた。小鳥は師範の顔をじぃっと見つめてる。
 「なんだよ」
 『……フィレスが退魔の力で覚醒したのは、この子が女神の子孫で、魂の本質も生粋の神々と同じだったからだ。お前の場合は間違いなく、死ぬ。絶対に止めろ、ソレスタ』
 「魂の本質?」
 『種族の種族たる特徴は、魂の質と、生物が受け継ぐ外殻と、それを維持するに足る熱量……生命力の分量に左右される。フィレスは両親の情報から人間の器と生命力を構築したが、魂そのものは退魔の力に触れるまで限り無く人間に寄せていただけで、元々は神の物と同質だった。だから退魔の力と共鳴、血にも残っている神の性質を利用して存在を変質できたんだ。残念だが、お前の先祖も魂も神のそれではない。神の力なんぞ喰らったら、生命力はともかく器と魂の大部分が損壊するぞ』
 「器と魂の大部分が損壊する?」
 『ああ。最低限の生体活動だけを繰り返す、短命な寝たきり人形の出来上がりだ』
 「ふぅーん。それはそれは……」
 数秒目を伏せた師範が、何かに気付いたのか、私を見てにやりと笑う。
 凄いな。私ではさっぱり付いて行けない内容にも、師範は理解を示してる。
 「「退魔の力が」フィレスの魂を神の物に覚醒させて、人間部分を変質した?」
 『正確には、「覚醒した魂のほうが」アーレストの力を借りて、生命力と外殻の構成を神の物に自主修正したんだ』
 「つまり、退魔の力は基本的に人間部分を害さない?」
 『あれは悪魔を退ける為の力だからな……って…… あ。』
 あ。
 「へぇえええー。そーかそーか。俺の魂は限り無く人間寄りな悪魔で、ご先祖様は神でも人間でもないのかあ。道理で昔、初対面のアーレストに開口一番「悪魔の仲間?」とか訊かれたワケだ。俺の鍵にはレゾネクトかべゼドラが合うってことだよなぁ?」
 師範が……アルスエルナ王国の第二王子である師範が、悪魔の子孫? それはもしや……
 『い、いや、ちょっと待て、早まるな! 神と悪魔は別物だ! 今まで悪魔に覚醒した人間はいないし、フィレスと同じ経過を辿っても、同じ結果を得られる確証は何処にも無いんだぞ!? 好奇心で自殺するつもりか!?』
 手の中で再度暴れ出す小鳥。見下ろす師範の顔は、なんだかとても悪人ぽい。
 「失礼だな、野良鳥。あいつじゃあるまいし、俺は好奇心だけで動いた例は無いぞ」
 『まさに今! 物は試しだやってやろう! って顔してるだろうが! あと、私は天属こそ抜けたが、生粋の女
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