Side Story
インナモラーティは筋書きをなぞるのか
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に振り返った師範は、上機嫌な顔でとんでもない台詞を繰り出した。
「俺の心臓を退魔の力で貫いてもらったら、お前と同じになれるかもなって」
「っ……」
信じられない発言に息を詰まらせた、瞬間。
『くぉんの、おおバカモンぐぁああーッ!』
「ぃでっ!? な、っんだぁあ!?」
私の背後から一陣の風が凄まじい勢いで奔り抜け、師範の顔を猛攻撃する。
いや、風じゃない? 薄い桃色の光を放つ……小鳥?
白っぽい小鳥が翼を引っ切り無しに動かして、師範の顔と腕をバッシバシ叩いてる。容赦が無い。
『さっきから! 黙って! 聴いて! いれば! 私のフィレスに向かって! 配慮の欠片も無い暴言ばかり! 吐きおって!! 途中で聴くの止めてたらセクハラとモラハラで彩られた究極の変態親父だぞお前ぇえっ!!』
せくはら? もらはら?? どういう意味だろう。
というか、小鳥が普通に喋ってる?
……違う。鳴き声そのものは疑う余地も無く「鳥」だ。耳奥で人間の言葉に変換されてるのか。
だとすると、これは……
……なんだかんだ言って、結構残ってるんですね……怪奇現象……。
咄嗟に構えたナイフは必要無さそうだし、仕舞っておこう。
「誰が親父だ、誰が! 俺はまだ酒を片手にグータラする年齢じゃねー……って、ちょっと待て! フィレスは俺のだっ! なんだか知らんが、譲る気は一切無いぞ!!」
はい?
『変態の部分は否定しないのか! このたわけッ!』
「残念だったな! 自覚済みだ!」
あ、そう……なんですか?
『開き直るんじゃない! もうお前、フィレスに近寄るな! この子が穢れる!』
「嫌ですぅー! 寧ろ穢しますぅー! お前こそ、フィレスとの貴重な二人きりの時間に割り込むな! 野良鳥!」
『野っ!? 何処までも無礼な奴だな、ソレスタ=エルーラン=ド=アルスヴァリエ! この鳥形は世を忍ぶ仮の姿で、本当の私はアーレストにも引けを取らぬ美しい容姿をした、アリアシエルとアルスエルナ王国とフィレスの(自称)守護女神だぞ! 敬え! 感謝しろ!』
今、小さく「自称」とか呟いたような。
「現実・現在、俺の顔を突いてんのはどう見たって鳥じゃないか! 過ぎ去りし日の姿形を自画自賛してりゃ世話ねぇな! 生憎、実質がどうあれウチの主神は女神アリアなんだよ! フィレスへの御加護がどんな物かは知らないが、今迄ありがとうございました! 今後の娘の成長に乞うご期待!」
『お役御免な言い方をするな!』
「子離れは親の義務だろぉが! つーか、いい加減鬱陶しい!!」
顔を庇ってた両腕を横へ開き、飛び回る小鳥の体を拝み手の要領で ぐわしっ と挟み込んだ。翼を封じられた小鳥は、首だけを忙しなく動かしてピー! ピー! と非難の声を上
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