Side Story
インナモラーティは筋書きをなぞるのか
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て路上に散らばる大量の「何か」。
小石、か? 石畳が壊れてたら大変だ。無許可で出歩く私達では役場に報告できない。配達人が早朝の仕事を始めてうっかり負傷する前に、夜警が気付いて注意してくれれば良いんだけど。
「覚醒と睡眠の時間比率が身体に与える影響は?」
「先日からの実感では、人間と全く同じです。過度な睡眠や寝不足は体と思考を鈍らせます」
街をぐるりと囲む石壁へ近付くにつれ、物陰から飛来する矢だの足元にピンと張られた細い縄だの、子供の悪戯かと疑いたくなる幼稚な罠の数々が勢いを増して次々に襲って来る。余程構ってもらいたいらしい。
が。
此方に付き合う義理は微塵も無いので、悉く無視して先を急ぐ。
「人間との生殖は?」
「可能です。私か相手の生殖機能に重大な欠陥が無い限りは」
「お、お前ら!」
壁沿いでも特に人気が無い場所を選んで来たのは判るが、此処からどうやって外へ出るのだろう? と師範の背中を眺めていたら、物言いたげな男四人が現れて私達を円く囲い込み……
「いったい、何ものぐぁっ!」
「ぎゃっ」
「ぐぉ」
「ふぐ……っ」
私が腰を屈めた途端、一斉に吹っ飛んだ。
ふわっと広がった黒布の内側で、腰帯に戻される鈍な剣。
見事です、師範。
「その場合、生まれた子供は十中八九、ただの人間だよな」
「神の力を潜在的に引き継ぐ可能性は大いに有りますが、表層的には普通の人間でしょうね。私が知る限り、私の一族には代々普通の人間しか生まれてませんから」
壁に手を当てて歩きながら何かを探る師範が、ある一ヵ所で立ち止まり、壁をぐっと押し込んだ。すると、大人一人分に相当する範囲の壁が四角い形で外側に開き、小さな物音一つだけで街の外と内を繋いでしまった。外側に積もってる雪は、壁の上部に張り出した横長な見張り台のおかげで、扉の開放を妨げる量にはなってない。
緊急避難用の出入口? 形状からして一方通行か。こんな仕掛けがあるなんて知らなかった。別の場所なら領主から聴いてたんだけど。
側頭部強打で昏倒した盗賊と思われる四人を素早く引き摺り出し、壁を元に戻した後、見張りが気付かないように近くで繁っていた森の少し奥へと纏めて放り込む。周辺の雪に残った足跡を消しておくのも忘れない。
酷いと恨むなかれ。人間、誰かに危害を加えるつもりなら、それ相応の危害を加えられる覚悟も必要だ。
恩には恩を。無関心には無関心を。害意には害意を。
当然の報いでしょう?
街を離れ、サクサクと鳴る雪原を山方面へ、暫くの間無言で進み……
「……やっぱり、俺にも可能性は有るんだな」
「は?」
「神化の可能性」
ピタッと止まる。
「……何を、お考えで?」
上擦った声
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