Side Story
インナモラーティは筋書きをなぞるのか
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囲にはしっかり伝播するモンだ。中途半端な介入は言葉通りの「大迷惑」。お前自身の確固たる指針が立てられない内は、お前と二人は会うべきじゃない。俺の護衛はフィレスが居れば十分だし、お前は此処で大人しく書類と感情の整理でもしてろ。俺とフィレスが此処に居るって偽装工作も必要だろ?」
「……っ、だからって!」
「アーレストさん」
ベッドを降りて近付くマリアさんの声に、アーレストさんの両肩がビクッと跳ねた。
そろりとゆっくり振り返る様子は……なるほど。怯えにも似た何かを感じさせる。本当に、どうしたら良いのか判らないんだな。
そんなアーレストさんを見上げて、マリアさんが柔らかく微笑む。
「大丈夫。フィレス様が傍に居れば、ソレスタさんの安全は保障されるわ。彼女を信じて帰りを待ちましょう。その間に貴方と話してみたいの。付き合ってくれる?」
「話、ですか」
「ええ。何故かしらね? 貴方をじっと見ていると、とても大切な人達を思い出すのよ。雰囲気が何処と無く似てるから、かしら」
精一杯伸ばしたマリアさんの両手に、腰を曲げた姿勢で自らの両腕をおずおずと預けるアーレストさん。傍目には親と娘に見えなくもない。親を母と見るか父と見るかは人次第だ。
「……私もね。彼の行動には感情面で付いて行けなかった。頭では仕方ない、感謝するべきだと理解してるつもりよ。結果的には、彼の判断と行動があればこそ「現状」に落ち着けたんだもの。でも、もっとよく考えていれば他に方法があったんじゃないかって、身勝手な怒りを捨て切れないでいる。貴方がそれに気付いてくれたこと、心から嬉しく思います。ソレスタさん」
アーレストさんと手を繋いだまま、師範に顔を向けて軽く一礼するマリアさん。
「女神を崇拝する者としては当然の話です。念の為に最終確認ですが、「勇者アルフリードは、退魔の力を使った直後や回復中、吐血したり異常な苦痛を訴えたりはしてなかった」……で、間違いありませんね?」
「ええ。間違いないわ」
強い眼差しで頷く彼女に「了解です。では、また後日」と言い残し、私達は足早に部屋を、教会を後にする。
扉に阻まれて見えなくなるまで、アーレストさんは困惑した視線を師範の背中に注ぎ続けた。
「……お二人を同じ場所に残して来て大丈夫なのでしょうか、師範」
「んー?」
暗闇の中でも黒い輪郭を現す建築物と建築物の間を、師範の一歩後ろに付いて歩く。
今のような草木も寝静まる時間帯になると、街灯は一部の区域を除いて全部落とされてしまう。経費削減……ではなく、火を灯す為の油が北方領全域で不足してる所為だ。
ほぼ万年雪に囲まれていれば、民の暖を確保する為に日々膨大な量の資源が消費されていくのは必然で。松明との併用にも管理と人員の面で限界があるし、
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