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逆さの砂時計
Side Story
インナモラーティは筋書きをなぞるのか
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付き、追い越さなければ。
 『……』
 「どうしました?」
 不意に小鳥の視線を感じ、首を傾げる。
 『……気にするな。天然と鈍感は遺伝するんだなぁと思っただけだ』
 「はい?」
 天然? 鈍感?
 『改めて名乗ろう。私は音を司る女神アオイデー。フィレスの先祖、言霊を司る女神メレテーの親友だ。アルスエルナの王族に繋がる古き友との約束でお前達人間を影から見守ってきたが、こうなっては仕方ない』
 「仕方ないも何も、完全にお前の早とちり」
 『喧しい! いいから聴け!』
 「へいへい」
 なんという雑な返し。自称とは言え「女神」を相手にしてる筈なのに、アリアへの理解やマリアさんへの丁寧な態度とは大違いだ。これが信仰心の表れか。
 『私は、現時点からフィレスが人間世界を離れるまでの間、レゾネクトの一件を知る者達に直接付く守護者となろう。特にソレスタ! お前は悪魔化を試す気は無いと言うが、過去の所業を考えると全く信用できん! 生きてる限り何処までも延々と付き纏って、夜となく昼となく(つぶさ)に監視させてもらうからな!』
 「うわ、すんごい邪魔…… ん? 音を司る女神? お前、アーレストの先祖か」
 『私に子孫はいない。あれはお前と同じ、古き友の血筋だ。一応言っておくが、あれの魂は人間で、あれが使う力は神や悪魔の物とは違う。強いて分類するなら「創造神お抱えの調律師」。私が把握している全生物の歴史の中では二人の人間にしか現れていない、ありとあらゆるものを創世当時の旋律へ導く希少な指揮者だ』
 調律師で指揮者。それっぽいを通り越してそのままだ。
 「ふーん? じゃあ、あいつ……プリシラは?」
 『ただの人間』
 「納得いかん! あいつのほうが俺よりよっぽど悪魔だろ!?」
 『情報収集と分析能力の話なら、答えは単純に人海戦術と人間観察だぞ。人脈作りとか人材育成とか諸々の実行手段とかは見てるこっちの心臓に悪い事だらけだが、それも大きく長い目で見れば基本に忠実なだけで、時と場合と相手さえ考慮しなければ、大した事はやってない』
 「各国の主要組織に背景を隠し通せてる時点で「大した事」なんだっつの。やっぱりバケモンだな、あれは」
 腕を組んでうんうんと頷く師範。
 この方がバケモノ呼ばわりするプリシラさんとは、いったい。
 「ついでに聴くが、お前が本物の堕天使なら勇者アルフリードを知ってるよな? 彼もフィレスと同じ要因と過程で神化したのか?」
 『……お前、本当に悪魔化は……』
 「しつこい。誤認を避ける為の質問だ」
 『…………少し違う。勇者の魂は、祝福を受けて神々の眷属と化した元・人間だ。お前が考えてる通り、あれは「わざと」「そうした」と考えるべきだろう』
 「なんだ。俺の考えが読めてんなら、現状で俺が悪魔化を狙う訳が無いの
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