Side Story
少女怪盗と仮面の神父 50
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偉い人がぞろぞろと!」
「エルーラン殿下は第二王子で、王太子付きの第一騎士団団長よ? 国軍の上に立つ王族付きの騎士団を、ひょいひょい動かして良い立場ではないわ。不用意な戦力移動は国内外で余計な不安を煽ってしまうもの。バーデル側に話を通すのも、かなり苦労してたみたい」
「バーデルも知ってるの?? って、だから自警団員に直接請願してたのか」
「隠して行えば大事になる話でも、最初に打ち明けておけば、有利な条件で不可侵の約束を勝ち取れる場合がある……ですって。ただ、国境の危うさを考慮した結果、特定人材の小規模軍事訓練場に指定するまでが、許容範囲内ギリギリだったそうよ」
「国際標準規定の国境警備規模より大きくするな! って話?」
「ええ」
ちなみに、村の人達が知っているのは
『ネアウィック村周辺が騎士達の軍事訓練場に指定されていること』
『村近辺のどこかに騎士達の隠し拠点があること』
『私達十四人の移住民が、元は国内で自警団に類する仕事をしていたこと』
『エルーラン王子に実力を買われて騎士職を宛がわれたこと』
それと『私が騎士達と自警団に剣術を教える立場を与えられたこと』。
バーデルが知っているのは
『現リアメルティ領主が第二王子であり、前領主を代理に据えていること』
『ネアウィック村の周辺が王族付き騎士団の小隊と騎士候補生達の訓練場になっていること』
『王族付きの騎士団員が自警団に少数混ざっていること』
『私が騎士達の剣術指南役を務めていること』だけ。
どちらも、私達移住民が元義賊だったり、私が領主の後継者だったり。
第三王子と、第二・第三騎士団の小隊隊員数名が、自警団以外でも村民に紛れ込んで普通に生活している、とは、夢にも思ってなかったわ。
「アルスエルナへの入国許可をバーデル軍に出す代わりとして貴女を国外へ逃がした時も、私とベルヘンス卿は教官役の騎士隊長、貴女は私の養女で、暗殺組織に狙われているアリア信仰の関係者、としか説明してないし」
「真実はほとんど話してない??」
「重要なのは通した話の真偽だけ、その他はバレなきゃ良し。だそうです」
「暴論にもほどがある??」
確かに、誰にも何も悟られなきゃ良いだけの簡単な話だとか言ってたが。
まさかあれ、本気じゃなかろうな?
シャムロックが言えた義理じゃないが、バレなきゃ平気平気〜!
なんて甘い考え方をしてたら、いつか国単位で痛い目を見るぞ!
と、急激な悪寒に襲われて震える体を抱えつつ、頭を数回横に振り。
肩を落として、ため息を一つ零す。
でもこれで、みんながアルフィンを探してる間ですら言葉や態度に何一つ裏事情に関する情報を出さなかった理由が分かった。
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