Side Story
少女怪盗と仮面の神父 50
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もの)だわ」
発想がえげつない。
「顔色・目線・眉や指の動き・瞬きの回数・声の出し方・間の置き方・言葉選び・言葉や態度への反応。私達が見ているのはそういう部分よ。新規事業を成功させたいのなら、貴女はまず、その真っ直ぐな感情を操れるようになりなさい。無邪気なだけの子供に未来を委ねる人間はいないのだから。とりあえず、書簡を確認させて頂戴」
「……私のほうが使者だと、確信してるんですね」
「アルスエルナ国内で自生するコーヒーノキを見つけるなんて、バーデルにとってもアルスエルナにとっても、私にとっても想定外だった。この情報は一刻も早く正確に中央教会へ運ばなければ、リアメルティ領で血生臭い混乱が起きてしまう。速さ優先で、中央に召喚されているアリア信徒が直接手渡すか。正確さ重視で、大森林の管理権を預かっている近二代のリアメルティ領主のどちらかが届けるか。他の人間なら迷う局面でも、エルーラン殿下なら危険を承知で当事者を素早く動かすわ。一番大切な事は決して見失わない方だもの。……よく両陛下の前で口を滑らせなかったわね? なんとか取り上げようと揺さぶりを掛けられたでしょうに」
「ハウィ……リアメルティ伯爵も命懸けで動いてるので、私も気取られまいと必死だったんです。王城は恐すぎます。壁一面に目や耳がびっしりくっ付いてるみたい」
袋状の右袖に左手を突っ込み、内側に縫い付けた布と袖の隙間から手拭いで包んだ四つ折りの書簡を取り出し、プリシラへ渡す。
「言い得て妙ね。城で僅かでも心を休められたのは、後にも先にも王妃陛下に全力で保護されていたアーレスト一人だけだと思うわ。あそこには所属違いの「影」達が跋扈してるから」
「やっぱり。夜中に四方八方から見られてる気がしたんですよねぇ……。いつ襲われるかとヒヤヒヤでした」
白地に黒いインクで記された内容と赤い紋様を確認した彼女は、一つ頷いた後、書簡を再度四つ折りにして自らの左袖へ仕舞った。
これでやっと一息吐ける。
「それ、半分くらいは「影」じゃないし、「襲う」の意味が違うと思うわ」
「へ?」
「セーウル殿下に感謝なさい。貴女よりも寝不足で、今頃はふらふらしてるわよ。彼」
「??」
「ふふ。こういう話は他人事だからこそ面白いのよね」
ころころと笑いながら「頑張りなさい」と言われても、意味が解らない。
怪訝な顔を傾げる自分にプリシラは笑みを消し、真剣な目を向ける。
「リアメルティ領内に在る大森林の開拓権を寄進する旨、中央教会で正式に受領しました。以後、大森林に手を加える際は、誰の・どのような目的であっても、必ずアリア信仰を通していただきます。……土地そのものに手を出せないなら権利を遠ざけてしまえ、なんてね。やるじゃない、ミートリッテ嬢」
「……バーデルの命綱をぶった切る発
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