Side Story
少女怪盗と仮面の神父 50
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、南方領内の各地で高級品が消える、消えないようにする、をくり返せば当然、異常事態に気付く者も徐々に増えていく。
一般民の間で、使い古していた道具がいつの間にか新品に変わっていた。生産者に入る売上金が微妙に増えている。などと噂が立てば、貴族の所有物消失事件と話が混ざり、義賊が活動しているらしいと結論付けられるまで、そう長い時間は掛からなかった。
一件や二件程度であれば、盗まれた貴族を責めるだけで終われるが。
五件も六件も立て続けに奪い取られた挙句、己が預かる領地にまで現れたとなれば、最早他人事では済まされない。
そして、自分以外にも被害を被った者がいるなら、自分だけが能力不足を責められる道理も無い。
盗難被害者である貴族達は、裏で密かに会談を重ね。
怪盗の存在を一斉に公表した。
それが通称『山猫』だ。
彼らは、自分達が大っぴらに恐れてみせることで『山猫』の能力を非常に高いものであると喧伝した。
自分達は悪くない、相手の手口が想定よりずっと巧妙だっただけだ。
という保守的な構えに他ならないが、シャムロック本人も盗みをくり返す力量を見せつけていたので、あながち、ただの言い訳とも言えず。
結果、被害に遭ってない貴族達にまで過剰な警戒感を植え付けてしまう。
かつてのように盗人の好きにはさせまいと考える貴族達にとって、自分の采配で怪盗を取り押さえる事実は、なによりも重要で。
その為の戦力の出所には、さほど拘れなかった。
アルスエルナ王国に籍を置いていない護衛兵を雇う南方領貴族の増加は、運営費全般の微妙な変動から、すぐさま王室の耳にも届く。
南方領南西部のリアメルティ領を預かるエルーラン王子も、義賊の出現を察した時点で、被害の実態調査とハウィス・アルフィン両名の監視強化を、ネアウィック村周辺の騎士達に命じていた。
不幸だったのは、外出時のミートリッテに付けていた監視が一人だけで、シャムロックの活動開始時刻が、ブルーローズの活動開始時刻よりもずっと夜遅く、むしろ早朝に近かったこと。
それは、しっかり鍛えた大人でも、抗いがたい眠気に襲われる時間帯。
昼間に商いを展開して深夜に移動する行商人ならともかく、子供が一人で動き回ったりはできないだろう、という侮りと偏見、貴族達の自尊心による被害の公表遅れ等々が、シャムロックの正体を、エルーラン王子の目からも遠ざけてしまっていた。
「観光から帰ってきた貴女が、心臓を止めて倒れた時もそう」
通常なら、帰り着く頃には監視者から鳥を使った連絡が届く筈だった。
いいえ、届いてはいたのよ。
でも、貴女がリアメルティ
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