【あなたに贈る一筋の風】
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
と、そんな事より今はネジ兄さんの身体の方が心配なんです…!」
「(ヒナタ、様……)」
「姉さまもそう言ってることだし、素直に看病されておきなよネジ兄さまっ」
姉を後押しするように従兄に言い聞かせようとするハナビ。
「判り…ましたよ、お言葉に甘えさせて頂き──クシュンッ」
「(ネジ兄さんのくしゃみ……何度見ても聞いてもかわいい……)」
心の内でこっそりと、ヒナタはそう感じた。
「すみません、ヒナタ様……誕生日だというのに、何も用意していなかったばかりか世話を掛けてしまって」
ネジは額当てを取り、後ろに結っている髪を解き、寝巻き浴衣に着替え床に入る。
「私の事は気にしないで下さい、ネジ兄さんの看病を出来る方が私にとっては嬉しいですし」
「そういう、ものですか……? しかし、俺の誕生日には……好物のニシン蕎麦を作って頂いたのに。あと……手編みの髪紐」
「そう簡単に切れたり解けたりしないように、しっかり編み込みましたから」
「ええ、重宝しています……。あとで、俺からあなたに何か──クシュンッ」
「今はそんな事より、風邪をこじらせないようにちゃんと休んでいて下さいね、ネジ兄さん」
「は、はい……」
そして二日後。
「──本当にもう大丈夫なんですか、ネジ兄さん?」
「ええ、クシャミも出なくなりましたし……熱も大したことは無かったので軽い風邪だったのだと思います。あと、ヒナタ様の手厚い看病のお陰かと。……すみませんヒナタ様、付きっきりでいさせてしまって」
「私がそうしたかったから、そうしたんです。治ったみたいならいいんですけど、無理しないで下さいね?」
「はい。──それでヒナタ様、遅れてしまいましたがあなたの誕生日の……」
「くしゅんっ」
「あ……ヒナタ様、今クシャミを──」
「あっ、大丈夫です! ごめんなさい、今のはほんとにただのくしゃみ──くしゅんっ」
「軽かったとはいえ、俺の風邪が移ったのでは……」
ネジは不意にヒナタの額にそっと片手を横に宛てがう。
……ヒナタは別の意味で顔が熱くなるのを感じた。
「熱があるように感じます。ヒナタ様、今すぐお休みになって下さい。風邪をこじらせたら大変だ」
「は、はい……分かり、ました。あの、ネジ兄さん……」
「何でしょうか」
「今度は、その……ネジ兄さんが、私の傍に……いて、くれますか」
俯いてもじもじと消え入りそうな声で言うヒナタ。
「──言われずとも、そのつもりでしたよ」
ネジにふっと微笑され、ヒナタは更に顔を紅く染める。
「熱が上がったのではないですか、ヒナタ様。……俺があなたの部屋
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ