第11話 丘に聳り立つ
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一切の裏も含みもない士郎からの言葉に、対する存在は何も言えなくなった。
人間では無い自分が人間らしいと言われて何を思えばいいのかと、分からずに体裁を維持するのがやっとなのが本音である。
その為にも話題を逸らす事を図った。
『そんな世間話をしに私の所まで来たのか?暫く留まっていれば目覚めたろうに』
「いや、礼を言いにな。昨日は義経達達の危機を知らせてくれて助かった」
『その程度で礼を言われてもな。アレは影の女王の結界を勝手に密かに利用して気づいただけに過ぎない。それにな、そろそろ私に宿代を払わさせろ』
「宿代?」
士郎に心当たりはない様だが、その存在にとっては大問題の様だ。
『こうして今もお前と言う宿主に寄生している宿代だ。争いを肯定している訳ではないが、このままでは借りが膨れ上がるばかりだ』
「別に気にする必要なんて無いんだがな・・・」
『私には有る!話は少しずれるが、お前の記憶障害は私が寄生した事の方が十分な原因だと考えている。何しろ平行世界の移動中で心身ともにボロボロの時のお前に、知らなかったとはいえ、私も傷を癒す為にお前に寄生したのだからな』
「それこそお前の推測だろ?」
『“お前の方も”であろう?その上で借りが膨れ上がり続けるなど、断じて容認できない』
「だから気にする必要は・・・」
『お前に無くとも私には有る。私は断じて“釈迦堂刑部”では無いからな!』
「ひも?」
何の話だと、士郎の頭上にクエスチョンマークが現れる様に首をひねる。
『そう、私はひもでは無い。ニートでは無い、寄生虫では無い、自宅警備員では無い、まして釈迦堂刑部などでは断じて無いッッ!!』
如何やら目の前の存在は、釈迦堂刑部を更生を促す為の士郎の言葉を覚えている様だ。
しかも何故か自分の今の状況と照らし合わせて。
「・・・・・・」
確かにそれらのキーワードを口にしたのは自分だが、それらと釈迦堂さんを同列――――いや、それ以上のモノに貶めるのは流石に如何かと思う士郎の様だが、本人は収まるどころかさらに興奮している。
『釈迦堂刑部、何なのだあの穀潰しは!溢れる才能を腐らせて怠惰に浸るなど、正気の沙汰では無いッ!これがもし、努力し続けたが大きな壁に幾度も阻まれたともなれば同情しよう。大切な誰かを失った果てなら憐れみを籠めて慰めよう。だが釈迦堂刑部は挫折の淵で膝を屈したわけでもないと言うのに、堕落の徒に好き好んで成り下がった!――――いや、これが自らだけの責任で収まるならそれも見過ごそう。だが、だがあの男、釈迦d、自宅警備員は!――――』
もう釈迦堂刑部にいっそ、親の仇以上に憎んでいるんじゃないかと疑われても
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