暁 〜小説投稿サイト〜
東方仮面疾走
4.Nの疾走/究極の巫女さんドリフト
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再びコーナー。次は緩い右コーナー。減速体勢に入ったFDをインからパスしグリップでつっこんでいく。
「なっ!こいつ先を知らないの?この緩い右の後にきつい左よ。減速しないと谷底に真っ逆様よ!」
 減速なして右コーナーを抜けてったハチロクは次の左コーナー手前でリアがブレイクした。
「いわんこっちゃないわ!スピードが乗りすぎてる!立て直して減速するスペースはもうない!」
 次の瞬間、スピンし谷底へ落ちていくハチロクの姿が脳裏をかすめた。
 しかし、現実では目の前のハチロクはアクセルを全戻しし、巻き込みで左に流れていたリアは右に振られる。そして四輪ドリフトへ。
「な、なに!?─────────慣性ドリフト!」
 ハチロクはクリアしてしまった。
 ギャァァァァァ!とFDからスキール音が鳴る。スピンしその場で止まった。





(信じられない‥‥‥‥私はこの峠で死んだ走り屋の幽霊でも見たの?一つ目の右カウンターは次の左の姿勢づくりのフェイントだった。この博麗の峠を知り尽くした、腹の立つくらいのスーパードリフトじゃない!)
 フランが悔恨の念にかられていると、後ろからメンバーが追いついてきた。
「フランさん、見ました?今のハチロク!」
「うん。見たわ」
(私のプライドはズタズタよ峠仕様の最新型のFDで旧式のぼろハチロクに負けるなんて‥‥‥‥‥あのハチロク、何者なの?)
 そのハチロクのドライバーがさっきまで会っていた意外な人物だと言うことをフランが知るのはまだ先の話である。

 これが伝説の胎動である。
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