巻ノ百十七 茶々の失政その二
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「そしてじゃ」
「伴天連の者達もですか」
「自由に教会を置いてもよいしじゃ」
それにというのだ。
「その知恵もな」
「仕入れていくのですか」
「そうせよ、よいな」
「しかしです」
片桐は茶々にさらに言った、その切支丹のことを。
「切支丹は太閤様もです」
「知っておる、認めておられなかったな」
「禁じられました」
このことを言うのだった。
「本朝を乗っ取ると言われて」
「そうであったな」
「ですから」
「その様なことが出来る筈がなかろう」
茶々はあくまで豊臣家の力を信じていた、そしてその力は絶対と考えていた。だからだった。
片桐にだ、こう言ったのだった。
「豊臣家、そして豊臣家が従えている大名達の力でじゃ」
「乗っ取らせぬと」
「比叡山も本願寺も抑えてきたではないか」
そうした力のあった寺の話もした。
「ならばじゃ」
「切支丹達が何をしようとも」
「そうじゃ、動じることはない」
だからだというのだ。
「切支丹達を認めてもな」
「そして伴天連達を天下に置いても」
「何もないわ」
そうはさせないというのだ。
「思うが太閤様のあれは杞憂であられたわ」
「杞憂ですか」
「わらわも切支丹の者に会うておる」
大坂城に来た者達とだ、会って幾らか話をしたこともあるのだ。
「それでわかったがな」
「悪い者達ではないとですか」
「そうじゃ、だからな」
「切支丹を許し信仰もですか」
「許す」
そちらもというのだ。
「大坂では自由じゃ、他の神仏に何もせぬならな」
「それでは」
「認めよ」
こう片桐に言う、片桐はさらに言おうとしたが周りの女御達がその彼を目で制したのでkれ以上は言えなかった、だが。
彼は自身の部屋に戻るとだ、彼の家臣達に言った。
「これは危ういぞ」
「切支丹を認めることは」
「そのことは」
「切支丹の中には確かによい者達もおる」
茶々が会った様にというのだ。
「実際にな、しかしな」
「坊主や神主達と同じくですな」
「悪い者達もおる」
「だからですな」
「そのこともわかっておき」
「さらにですな」
「あの者達は他の神仏を認めぬしじゃ」
何故秀吉が彼等を禁じたのか、片桐は彼の傍にいたことから知っていてそれで言うのだった。
「しかもな」
「民を本朝の外に売り飛ばし奴婢として使う」
「だからですな」
「到底認められぬ」
「あの者達は」
「幕府もそうしておる、それを幕府への反感をもとに認めれば」
それこそというのだ。
「豊臣家の一大事となる」
「全く以てです」
「これは恐ろしいことですぞ」
「流石の幕府もこれは認めませぬ」
「どう考えましても」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
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