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世界をめぐる、銀白の翼
第七章 C.D.の計略
ドラゴン 覚醒
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パワーはまずいと距離をとるマンティス。

そして後退させられたマンティスに向かって――――否、その後ろにいる天道たちに向かって、というほどの勢いで、ガタックは一気に疾走した。


「チッ、なるほどな。だが!!」

力強く、直線的な動きだが、ならばその軌道も読みやすい。
突っ込んできた顔面に膝をぶち当て、振り下ろした拳で潰してやる!!


ガタックの動きは、確かに直線的だった。読みやすい。
そしてマンティスに変身している冠木ならば、その程度のことは軽くこなすだろう。

それは、まさしくその通りになった。
カウンター、というのが的確だ。


腰を低くし、マンティスの身体を掻っ攫ってそのままステージへと突っ込もうとしているガタック。
そのガタックの顔面に向かって、放たれるマンティスの膝。


当たる。
火花を散らし、マスクにひびを入れてそれはぶち込まれた。

膝の感触に、マンティスは確かな手ごたえを感じていた。


(中々強力なタックルだな)



(だが、カウンターで入れたのだから)

ググ・・・・

(これで拳で叩きつけて!!)

ゴッ!!!ドンッッ!!


「ゲハッ!!?」

しかし、クワガタムシは止まらない。
膝をぶち当てたマンティスの腹部に、肩から突っ込みその体を掴み取ったのだ。

その背中に拳を当てて反撃しようとするマンティスだが、がっちりと掴まれたホールドは些かも緩まない。

そして、そのままガタックは上半身を捻りながらブリッジ、マンティスを後頭部から地面に向けて、全力を尽くして叩き付ける。


「ゴッ!?」

「ァアアォア!!!」

バチバチと爆ぜるガタックのマスク。
もう少し強めの一撃が入れば、おそらく破損して中から加賀美の顔が見えていただろう。

対して、マンティスはというとダメージはあったが外見的なダメージはない。
物凄い勢いで後頭部から落とされたために、脳震盪がひどいくらいだ。


だが、その外見のダメージ量に相反して両者の心象は全く異なっていた。


ガタックから見て、目の前のマンティスは倒すべき敵。
必ずしも勝てるとは限らない強敵だ。だからこそ、全力を尽くし、一部も油断せず、あらん限りの力を尽くしていた。

マンティスから見て、目の前のガタックは倒すべき敵。
必ず勝つべき相手であり、総てにおいてこちらが優っている。故に、相手の出方を見てからのカウンターという戦法をとった。


スペック、ダメージ、テクニック。
全てにおいて勝っているはずのマンティスだった。

だが、あの一掴みと一投げ。
高々その程度の攻防で、数多の優位を持つマンティスの絶対的優位性は、いともたやすく崩れ去った。


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